彼岸花が咲く頃にー壱ー【鬼滅の刃】

11輪ー鉱物ー ページ12

「鬼狩り共！お前らは、まず矢印の男をやれ！！鞠の女は俺達と妹で引き受ける！！」


愈史郎の指示で、私達は二手に別れた。炭治郎がこちらへ駆け寄ってきて、私の隣に並ぶ。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ…。でも、ちょいと厄介やで。気ィつけや」


「はいっ！」


そう返事をした炭治郎だったが、いきなり鬼目掛けて突進していった。


「待ちっ！」


止めたが、もう遅い。


「薄汚い子供じゃ。儂(わし)の側に寄るな」


バチンと両手についた目を瞬きさせた鬼。瞬間、炭治郎に複数の矢印が襲い掛かる。


ガッ！ゴッ！ゴッ！という鈍い音と共に、炭治郎は上や横、斜めへと地面に叩きつけられた。


(痛い！！いや、これは………かなり痛い！！)


苦しそうに顔を歪める炭治郎。


「参ノ型、桜・赤短(あかたん)！！」


少しでも攻撃を止めようと、無数の桜の花札を鬼に向ける。花札は小さいから、いくつか矢印をつけられても、まだ数枚残っているはず………！


そして、私の予想どおり、数枚の花札は返されたが、残りは全て鬼に当たった。花札が山のように鬼の上に積もる。


「おのれ……。同種のくせに…！！」


また、バチンと目を瞬きさせて、二種の矢印が飛んできた。サッと避けるが、矢印は自分に当たるまで消えない。まるで磁石のようだ。しかし、鬼の頸をとってしまえば済む話。私は、矢印を避けつつ、鬼との距離を詰める。


「壱(いち)ノ型、藤・短ざ………」


技を仕掛けようと刀を構えた私だったが、炭治郎と同じように、複数の矢印が飛んできた。癖で、刀で受け止めようとしてしまい、矢印に刀を持っていかれて、その他の矢印は自分の体に刺さる。体を何度も打ち付けられ、自分が今、上を向いているのか下を向いているのかも分からない。しかし、痛みは感じなかった。


「貴様…。何故、体に傷一つ付かん！それほどに、人間を喰っているのか！？」


鬼の額から、少し汗が垂れている。自分の攻撃が効いていない事に、明かに動揺しているようだった。それに追い討ちをかけるように、鼻で笑う。


「いいや。私の体は、世界一、硬い物で出来とるからなぁ……」


「世界一、硬い物………金剛石(こんごうせき)かっ！」


「正解や」


私はパチパチと拍手をした後、暗い顔でフッと微笑む。


「ところで………。前、大丈夫か？」


軽く首を傾げて尋ねると、鬼はハッとして、横を向いた。


■□大正コソコソ噂話□■


金剛石とは、簡単に言うと「ダイアモンド」のことです。
ダイアモンドは、世界一、硬い鉱物だと言われています。

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