戦闘民族、ファナリス２【盾の勇者の成り上がり】

剣の勇者の胸の内 ページ9

＊錬side＊


ドラゴンを倒し、剣の勇者がドラゴンを倒したという噂が流れ始めたので、あのファナリスの女の耳にも噂が入り、少しは俺のことを見てくれると思った。


その結果がどうだ。


ドラゴンの死体を回収せず、そのまま放棄し、疫病を流行らせてしまった。


その噂を耳にしたアイツはどう思っただろうか。


俺の事を見損なったに違いない。


だが、久しぶりに見たアイツの姿は、前に見たときよりも綺麗になっていた。


樹の怒りを鎮めるため、丁寧に頭に被っていた布を外した時に見えた顔は、美しかった。


ファナリスを象徴する赤髪に鋭くつり上がった目、顎もシュッとしていてフェイスラインが綺麗だ。


布を被っていたのは、その特徴のある顔を隠すためだろう。


ファナリスだと気づかれれば、金に目が眩んで、タチの悪い奴らが目を光らせるからな。


仕方がないこととはいえ、あの美しい顔が拝めないことが残念だ。


俺の隣にいれば、あんな布被らなくったって、普通に過ごせるのに・・・。


仲間に入れたいのは山々だが、アイツはもう尚文のものだ。


俺が仲間に誘っても、丁重に断られるだろう。


だが、どうにかして関わりを持っておきたい。


そのためには、尚文と仲良くなるしかないが・・・今回の件で、俺は距離を置かなきゃならない。


今、仲良くしようとしても、アイツは俺に振り向いてくれない。


次のチャンスは波だ。


そこで、カッコいい姿を見せることが出来れば、少しは見直してくれるかもしれない。


お願いだ、ファナリス。


俺にチャンスをくれ。

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