好き23 ページ25
「……いねぇのか」
時刻は朝9時
昨日、あれからAとは連絡を取らなかった
いや、あいつから返信が来なかった
Aは特にだが、俺も朝に弱い
だから、まあまあ遅く来たつもりだ
なのに、インターホンを鳴らしても
出てこないのは不自然だ
「……絶対ぇ何かあるな」
考えすぎかどうかはすぐにわかる
昨日のあの態度が引っ掛かるが、
気にしないようにしよう
でないと、
俺が辛い
・
《〜♪〜♪》
携帯から音楽が流れる
電話だ
誰かと思い画面を見る
すると、
「A」
よかった、と息を吐いてそれを耳に当てる
「……もしもし」
『もしもし、勝己くん……？』
いつも通りの、柔らかい声
「……ん」
俺は短く返事した
するとAは焦ったように言葉を紡いだ
『ごめん！昨日メールに気づかなくて……！』
そんなことだろうと思っていた
だから、俺はそれを聞きたいんじゃない
「今どこにいんだよ」
『……えっと……』
明らかに何かを隠している
言い訳を探している
「………」
『友達の家に泊まってる……』
自信の無い声
やっぱりだ
「……今日無理なんか」
更に詰めると、
『……うん……先約があって』
と、逃げようとした
「誰とだ」
『誰って、何で……？』
「男じゃなけりゃ、誰でもいい」
いつもそうだ
こいつが他の男といるのが気に食わねえ
それをアホ面やクソ髪がからかってくる
いや、クソ髪は睨んでくる
絶対ぇAを狙ってる
『……あっそ。じゃあね』
少し怒ったように言われ、急いで止めに入る
「ちょ、待てや！おい！」
『……何？』
いかにも不機嫌そうに聞き返して来た
それに俺も不機嫌と丸わかりの言い方で答えた
「んでテメー……素っ気ない態度とってんだよ」
『別に、何をしても私の自由でしょ？』
「……っ……」
確かにそうだ
俺が悪いのか
だからって謝る何てしねえ
『……じゃあまた、学校でね』
通話終了を知らせる寂しい音が
耳元で鳴り響いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 409人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
