交際を前提に友達になりました.2【桃】 (ページ16)

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「大丈夫か？」

多分、中々戻ってこない私を心配してさとみ君がベランダまで来てくれた

普段はしないたばこの連続吸いをしてしまったため、戻るのに時間がかかってしまった

さとちゃんが副流煙を吸ってしまわないように半分くらい残ったたばこの火を消した

「ごめん…すぐ戻る」

「なんか今日は謝ってばっかだな」

「ごめん…」

ちょっと呆れたようなさとちゃんの言葉が怖くて、私の口から再び謝罪の言葉が出てきた

「A、腹をくくれって言ったところで無理だろうから言わない。でもAなら大丈夫だよ。絶対に大丈夫」

さとちゃんはそう言って私をギュッと抱きしめた

背中を優しく叩いてくれるそれに体に入っていた力が抜けていくのを感じた

「Aは始めるまでに少し人よりも勇気が必要なだけで、始めちゃえばちゃんとできるよ」

「そんなのなんの根拠もないのにわかるわけ…」

私の可愛げのない言葉にさとちゃんは少し笑いながら

「わかるよ。出会ってからずっとAの初めてに立ち会い続けてきたんだから」

ってまるで確信してるかのようにしっかりとそう言った

『大丈夫、Aなら大丈夫だよ』ってさとちゃんはずっと繰り返し続けた

不思議とさとちゃんに大丈夫だと言われるたびに自信がわいてきた

数分、そうし続けてもらった私は次顔を上げるときにはもう変な緊張もプレッシャーもほとんど感じなくなっていた

「うん、いつものAだ」

満足そうにそう言ったさとちゃんは私の手を引いて、リビングに戻り、再び椅子に座らせた

「ご飯、ちゃんと食べて。いつも通りが一番落ち着くよ」

面倒くさいであろう今日の私を突き放すこともせずに傍にいてくれるさとちゃんに私は

「ありがとう」

ってやっと言葉にすることができた

その言葉にさとちゃんは本当に嬉しそうに笑った

「やっぱりAはそうして笑ってるのが一番だよ」

優しく私の頭をなでてくれるさとちゃんにもう一度『ありがとう』と伝えて、さっきは食べることの出来なかったご飯を食べ始めた。