依存相手に選ばれました.6【紫】

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ベッドに倒れ込んだ後、そのまま寝てしまった私が目を覚ましたのは9時頃だった

既になーくんの姿は家にない


何時に出かけたのかも分からない

お見送りしなかったのは初めてだ


いや、起きててもお見送りしたか分からない


「私は子供か…」


寝て、クリアになった頭で考えるのは昨日の自分の愚行

日付を確認すると、今日はなーくんのお弁当の日


まだ怒ってるかなぁ…


顔を合わせるのがこんなにも気まずいって思ったことは無い


それでも、仕事を頑張ってるなーくんに私ができる精一杯はやろうって決めて、ベッドから動き出した

顔を洗って、タオルで顔を拭いて、ふと目にとまったのは普段なら家にないなーくんのシューズ袋


「あれ…？」


タブレットで共有されてるなーくんの予定を確認すると、私の記憶通り今日はダンス練習が入っている

時間は11時から…


「忘れ物…やっぱり頭ちゃんと働いてないじゃん」


普段ならこんなことしないのに…

私は急いでお弁当を作ると、それと一緒にシューズを持って家を出た


練習予定時間まで約10分

なーくんから、シューズを届けて欲しいって連絡が来てないけど、気づいてないのか…

練習が無くなったのか…

それとも、私に連絡するのが嫌で別の方法を探し出したのか…


「会いたくない…のかな」

ス「あ、Aさん
こんにちは」


事務所の前でちょっと中に入りにくくて、オロオロしてたらスタッフさんが声をかけてくれた


「お疲れ様です…」

ス「事務所、入らないんですか？」

「あー…ちょっと用事があるんで、これをなーくんに届けて貰えませんか？」

ス「え！？
会っていかないんですか？」


なーくんが会いたくないと思うので…

とは口にできず


「ちょっと時間が無いんで、すみません
午後にまたおやつ届けに来ます！」


そう口早に言って、スタッフさんにお弁当とシューズを押し付けるように渡して、私はそそくさとその場を離れた


家に帰ると、なーくんから一言「ありがとう」ってLINEが来ていた

顔文字もない

ただ単調なそれが、まだなーくんが怒ってることを表してるようで気持ちが沈んでいく


私の存在は、今のなーくんにとって邪魔…かな


そんな考えが自分の中に生まれたことに気づいて、慌てて頭を振る


違う

ただ、寝不足でイライラしてただけだ

仕事してないくせに、とかなーくんは思ってない



…あれ、私がそう思いたいだけじゃないの？

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