依存相手に選ばれました.6【紫】

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ななもりside

結局、Aと話すことも無く、俺は7時過ぎに家を出た


寝室に行ったっきり出てこないので、寝てるのか寝てないのかすら分からない

自分の言葉に後悔して、謝らなきゃとは思いつつ、普段怒らないAを怒らせてしまった恐怖もあって、顔を合わせることも声をかけることも出来ずに家を出た自分が情けない…


紫「はぁ…」

菊「朝から元気ないですね
どうしたんですか？」


出勤してきた菊地さんが心配そうにコーヒーを持って来てくれた


紫「ちょっと…喧嘩した」

菊「誰とですか？」

紫「Aと…」

菊「2人って喧嘩するんですね」


本気で誰かわかってない菊地さんにAの名前を出すと、驚いたように目を見開いた


紫「喧嘩…は初めて…」


今まで、見る人が見たら喧嘩って思われそうなレベルの意見交換はしてきた

だけど、自分の意見だけを押し付けるような会話は初めてだ


菊「それで元気ないんですね
ちなみに喧嘩の理由は？」


俺は昨日の出来事をそのまま話した


紫「と、言うわけでお互いに心配した結果…かな？」

菊「今の社長は仕事出来なそうなので、本末転倒感がありますが…
早めに仲直りしてくださいね」

紫「そう出来るなら…そうしたい」


まだ怒ってるよなぁ…

結局寝ないで出社してきちゃったし…


頭の中で妄想されるAは頬を膨らませて、怒った顔でこっちを見てる

あぁ…妄想の中のAは可愛いに全振りしてるけど現実はそうはいかないんだろうなぁ…

いやいや、現実のAが可愛くない訳では無いんだけど…！


なんて無駄な言い訳を頭の中でしつつ、初めての喧嘩に落ち込んでたって、仕事は待ってくれない


紫「Aが仕事始めちゃったらどうしよう…」


数時間前に自分で言った言葉が今更自分を攻撃してくる


黄「お疲れ様でーす
…どうしたんですか？」

紫「ぁ…るぅとくん
なんで…？」

黄「え、今日ってダンス練習…ですよね？」

紫「Σ(´□｀;)
ご、ごめん…忘れてた」

黄「なーくんがお仕事忘れるなんて珍しいですね」

紫「うわ…シューズ忘れた」


予定してたダンス練習の時間まで30分

家に取りに行くのは間に合わない


普段なら事務所に置きっぱだけど、たまには洗おうかなって持ち帰ったばかりだった


橙「お疲れ様でーす
え、なーくんどないしたん？」


慌ててる俺を見てジェルくんがびっくりしたように声を上げた


紫「ううぅ…シューズ忘れたぁ」

橙「珍しいな…」

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