依存相手に選ばれました.6【紫】

290.喧嘩!? ページ40

海から無事に帰ってきて、8月に突入した

紬からやっぱりジェルくんが好き…なのかもって連絡が来たのは2人がデートした日の翌日だった

今の女子会LINEでは、いじり過ぎない程度に紬をいじる会話が続いている


8月になってから、夏を満喫するをテーマに個人でもグループでもみんな大忙しだ


なーくんも事務所でも家でも仕事仕事で、休む時間も無く働いている

そんな生活が10日…

そろそろ、心配になってくる


「…なーくん、そろそろ寝よ？」

紫「先に寝てていいよ」


そんな言葉、今まで1度も言われたことない

そりゃあ、仕事で家に帰ってこない日は1人で寝るんだけど、なーくんが家にいるのにひとりで寝るなんてこと今まで無かった


「え…」

紫「まだ寝れそうにないから」

「…いつ終わる？」

紫「そんなのわかんないよ」


睡眠不足のせいか、ちょっとイライラした様子のなーくん

いつもと違う突き放すような言葉に、寂しさと悲しさ込み上げてくる


「終わるまで待つ…」

紫「俺が気になっちゃうから、寝てて欲しい」


私を気にかけてくれてるのはわかってるけど、そばにいることすら許して貰えないのはやっぱり寂しい


「なーくんもちゃんと休んでね
おやすみ…」

紫「うん、おやすみ」


私が部屋を出る頃には、既にパソコンに視線が向いている


寂しいなんてわがままを今は言ってはいけない

そんな気持ちを抱えたままベッドに入ってみたけど、いつも2人で寝てるベッドは1人じゃ広くて冷たい

夏なのに、一向に暖かくならない布団は今の私の気持ちを表してるようだった


しばらくゴロゴロしてたけど、どうにも落ち着かなくて、眠気が来るまでなにかしてようって思い自分の部屋に移動した


なーくんの配信部屋はそこそこ防音性に優れていて、外からの音がほぼ聞こえないのはもちろんだけど、中の音もほぼ聞こえはしない

音が聞こえないと、中の様子が分からない

普段、夜一人でも平気なのに今日は家にいることが頭にあるせいで余計寂しくなる


棚から編み物セットを出してくる

特に作りたいものがある訳でもないので、何となくモチーフ編みをしながらそれを繋げていく


完成像が頭にあるわけでもない

ただ無心で黙々と編んでいく

考え事をしてしまうと、寂しいって感情でいっぱいになってしまうから…


どれくらい経ったのか、突然なーくんの声が耳に届いた


紫「なにやってんの？」

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