貴方の壊れた部品、直します (ページ4)

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思い出せなくて③ ページ4

霧島さんが八橋さんに連れて行かれて、数十分後。私が店の外を眺めていると、ドアがきぃと音を立てて開く。

驚いて私がその方向を見ると、小さな黄緑色の髪の和装少女と黒髪、短髪の成人男性がにこにこしながら買い物袋片手に入ってきた。私が目をぱちくりしてると、成人男性の方がこちらに気付き、歩いてくる。

「おや。珍しい。お客様ですか」

「え、えぇ。まぁ」

「……もしかして叶と桜弥、また喧嘩してる？」

和装少女も成人男性に着いてきて、私に呆れたように問いかける。桜弥……は霧島さんの下の名前だっけ。私がこくり、と頷くと成人男性の方があはは、と快活に笑う。

「2人は相変わらず仲がいいねぇ。」

「そうだね。……っと。そろそろ私たちの自己紹介した方がいいんじゃないかな、夏樹。お客さんキョトンとしてるし。」

「あぁ。すっかり忘れていたよ。ありがとう、小町。……改めまして、ここで店主兼医者をやっています、月瀬夏樹と言います。以後お見知りおきを。」

「私は小町。ここでお客さんを直す仕事をしてる。よろしくね」

「あ……はぁ。」

一気に説明され、若干頭が混乱気味である。頑張れ私。今日一日の付き合いだけど覚えろ、私。

そう思っていると奥のドアがガチャりと音を立てて開く。顔を上げると、死人のような顔をした霧島さんと霧島さんの首根っこを掴む、無表情の八橋さんがいた。

「このバカ……もとい、霧島さんが今回の担当者です。よろしくお願いします……ってあれ。小町に夏樹。帰ってきてたんですね」

「うん。叶、大変そうなら私がやろうか？」

「あー、多分大丈夫です。貴方がやると余計面倒なので。」

「あははっ、確かにそうかもね。じゃあ小町、僕達はこの買い物袋をどうにかしに行こうか」

「うん。じゃあね、沙紀。また今度」

「え、あぁ、うん……」

私はひらひらと手を振る。バタンと扉が閉まったあとにふと気付く。なんであの子、私の名前知ってるんだろう。記憶を失くす前にあったのかな……？

うーん、と悩んでいると八橋さんが助け舟を出してくれる。

「あの人に関しては何も突っ込まないでください。私ですら分からないところがあるので。」

「はぁ……」

「それより記憶を直すんですよね。どうぞ、こちらに……。いつまで気絶した振りしてるんですか、霧島さん。出番ですよ」

「あー、だるっ。しゃあないからやったるかぁ」

私はこんな会話を聞きながら、ゆっくりと記憶の糸を辿り始めた。