貴方の壊れた部品、直します (ページ3)

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思い出せなくて② ページ3

「あ、あの……ここって白百合堂ですか？」

「そうですが何か？」

私が少し怯えて聞くと彼はフンっと鼻を鳴らし答えた。わぁぁ、ダメだ。こんな人がいるなんて聞いていない。もう少し調べてから来るんだった。

私ががくがくと震えているとドアの向こうから、落ち着いた声が聞こえてくる。

「霧島さん、誰に喧嘩売って……あぁ！貴方もしかしてお客様ですか？」

「え、あぁ、一応そうですけど…。」

ドアからひょっこりと出てきたのは、長い茶髪の女の方だった。落ち着いた雰囲気があり、目元のホクロがそれをより引き立たせている。しかし彼女の顔にも笑顔はなく、少し冷たそうにも見える。

ぼうっと眺めていると、彼女は勢いよく頭を下げた。

「うちの従業員が失礼しました。誠に申し訳御座いません。」

「あ、いえ！それは別に大丈夫なのですが……それよりあの、ここって本当に壊れた部品が直せるんですか？」

「えぇ、ただし直せるのは壊れた体の一部ですがね。」

彼女は私の問に、真っ直ぐに私の方を見て答えた。相変わらず無表情だ。私が直して欲しいんです、と告げると中へどうぞ、とドアの脇にたち、誘導してくれた。
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「それで？アンタは何処が悪いんだ？」

「霧島さん！少しくらい言葉遣いを直してください！」

「わぁったわぁった。それでアンタ……じゃなくてお客様は何処が悪いのですか？」

店内は静かで落ち着いていた。カフェの様な……はたまたびっ○りド○キーのような変な場所だった。レジに近い席に私は案内された。どうやら客は私だけのようだ。

霧島、という男の問に私は素直に答えた。記憶が無いこと。とある友人にここを紹介されたこと。などなど。

私が話すと、従業員の女の方ー八橋叶さんーが、ふむ、と頷き霧島さんの背を押した。

「そういうことならこの従業員の出番ですね。少々お待ちください。」

「はぁっ！？俺はこんな依頼受けねぇっての！なんだったら小町に頼めよ！一応あいつも……」

「小町は今、いないはずです！夏樹と一緒に街に買い出しに言ってるでしょう！？」

「じゃあ待てばいいじゃねぇか！」

「この駄々っ子が！いい加減にしないと縊り殺しますよ！？」

ひっ、と思わず声が漏れる。私の声に気づいたのか、八橋さんはにこーーっと笑い、霧島さんを連れて奥へ行ってしまった。途中、顔を出して「もう少しお待ちくださいね！」とまたまた黒い笑顔で言った。私はゾッとしながらも圏外の筈の携帯を何度も触っていた。