駆紋家の妹ちゃん。 【仮面ライダー鎧武】【駆紋戒斗】

完全敗北。 ページ39

光実の告白に、Aは目を見開く。

『光実、くん』

唐突過ぎて、直ぐに言えたのはそれだけだった。

『あのね、私』

ザックと付き合ってるんだ、と言おうとした時だ。

それを遮る様に光実は口を開く。

光実「知ってます」

『え？』

光実「ザックさんと付き合ってる事。だから、振られる事は分かってました」

光実はにこっと笑って言う。

まさか知っていたとは。

それが素直な感想だ。

光実「でも僕は伝えたかった。それだけなんです。僕が貴方を大好きだって事、知っていおいて欲しかった」

光実はそれから真顔になって続ける。

光実「それと、もう１つあります。言いたい事」

Aはその堅い雰囲気に、こくん、と息を呑んだ。

光実「すみませんでした」

光実はペコッとお辞儀した。

Aは慌てて彼の顔を上げさせる。

光実「僕は、Aさんが笑顔で過ごせる様な世界を作りたかった。貴方を、守ってあげたかった」

光実は、でも、と続ける。

光実「僕はそれが出来無かった」

光実は淡々とした口調で言うが、その言葉には確かに重みがあった。

光実「Aさんが大好きだったからこそ、それが歪んでしまって、結果貴方を傷付けた。それは事実ですし、もっと言えば…………お兄さんもそうでした」

光実の言葉にAの周りの空気が揺れた。

その瞳には動揺が滲んでいる。

光実「でもその時、Aさんの元でAさんの力になろうと、笑顔にしようと、頑張っていたのはザックさんでした。だから………」

光実は柔らかく微笑んでAを見た。

光実「僕の完全敗北です」

それからポロポロと涙を溢した。

光実「僕はっ…………貴方の隣にっ、居ては行けないんです…………！！」

『そんな事無いよ』

Aは微笑む。

『私は、光実くんに会いたくないと思った事、正直ある。でも、今私の目の前に居る優しくて他人想いな光実くんの事は、凄く大事で、大好きな友達だよ』

光実「僕は、貴方の友達で良いんですか？」

『うん。ずっとずっと友達だよ』

Aが頷くと、光実はやっと微笑んだ。

光実「何だか…………やっと全て、報われた気がします」

確かな好き。→←君に伝えたい。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す