駆紋家の妹ちゃん。 【仮面ライダー鎧武】【駆紋戒斗】

君の涙。 ページ33

真っ赤な爆炎の中に、きらりと光る何かが見えた。

戒斗が目を凝らしてそれを見れば、Aの涙だった訳で。

Aが抱き着いて来た時、その涙が戒斗の手を伝った。

冷たかった。

でも何故かその部分から全身に熱が広がって行って。

やっと、自分のしていた事の愚かさに気付いた。

Aは、そんな自分だとしても、ずっと一緒に居たいと思ってくれていた。

それ故、危険で痛い目に遭ってまでも抱き着いて来たのだ。

だが、ここで全てを後悔、反省した所で手遅れだと言うのは分かっている。

ザックが変身してこちらに走って来るが、爆発した後なのだ。

意味が無い。

やがて背中に強い痛みが走る。

ジンジンと痺れているのが分かった。

焼けているのだろうか。

もうここで終わりなのだと、そう思った。

＿＿＿＿＿＿だが終わりはやって来なかった。

戒斗が後ろに倒れ込んだ地点は爆発範囲のやや外側。

どうやらAが抱き着いた際に運良く爆発から免れたらしい。

戒斗の腕の中にすっぽりと収まるAを見た。

戒斗「………っA！！A！！！」

戒斗は勢い良く起き上がり、未だ泣いているAを揺すった。

『お兄……………ちゃん』

酷く不安気な声だった。

どうにか絞り出した様なか細い声。

Aの方が爆発を近距離で受けた為、彼女の腕や足には大きな火傷が出来ている。

戒斗「A…………ごめんな。俺が悪かった」

戒斗が言葉を紡げば、元の人間の姿へと戻る。

それを見たAは嬉しそうに目を細めた。

『ぁ…………いつもの優しい、お兄ちゃん、だ…………』

Aはそう言って目を閉じる。

それから戒斗が何度も呼び掛けても、全く反応を示さなくなってしまった。

戒斗「A！！起きろ！！大丈夫か！？」

Aの火傷からはポタポタと血が滲み出ていた。

爛れた所為で擦れた際に出血したのだろう。

傷口は大きく開いて、放置しておけばもう無理かも知れない。

こうしてしまったのが自分だと言う事に猛烈に腹が立った。

戒斗「ザック……！！」

ザック「戒斗！？生きてんのか！？」

爆発の炎や煙の所為で見えてなかったザックの姿が露わになった。

彼も小さな怪我を幾つもしている。

戒斗「俺は大丈夫だが、Aが………………！！！！」

戒斗とザックはAを抱き上げて、病院へと向かった。

病院。→←決行。

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