駆紋家の妹ちゃん。 【仮面ライダー鎧武】【駆紋戒斗】

作戦。 ページ30

帰宅したAは、鳴るお腹の音を聞きながら机に突っ伏した。

兄の次に信頼していたザックまでもが裏切ってしまった。

今誰を頼るべきなのか。

先ず第一に、もうザックには頼れない。

裏切られてしまったら、中々戻って来てはくれないだろう。

だからと言って光実を頼る事はしたくない。

今彼を頼っても戒斗と殴り合いを始めるとか、自分の願いの為に色んな人を蹴落とすみたいな事をするだろう。

他に居るかと言われれば凰蓮もだが、シャルモンの仕事があるから無理だ。

ぐるぐると思考を巡らせていると、ガチャリと玄関ドアが開いた。

少し顔を上げて確認すると、ザックが部屋に入って来る。

ザック「…………ただいま」

『……お帰り』

お互い暫く閉口していたが、Aは我慢出来無くなって言った。

『ねぇ、さっきの………裏切ったって事？』

Aの声が震えた。

するとザックは深刻な顔で言う。

ザック「ごめんな。Aに言わずに始めちゃって」

『始めた？』

ザック「実はこれ、作戦なんだ。でも最後、Aが悲しむかも知れない」

『作戦、かぁ。良いよ、私が悲しくても全部受け止める』

その返事を聞いたザックは口を開いた。

ザック「俺と戒斗はさっき、一部のライダーのベルトを破壊して来たんだ。でもライダー達は皆、自分から壊されに行ったんだ」

『え？自分から、変身出来無い様にしたって事？』

ザック「そ。でな、ライダーが全滅したら、戒斗も安心するだろ。そしたら、俺がシャルモンのおっさんに頼んだ爆弾の起爆装置を起動する」

『爆弾………！？』

ザック「それで、戒斗を爆破に巻き込んで…………そう言う訳だ」

ザックの思い掛けない発言にAは絶句する。

ザック「だから、今は戒斗の味方になったフリをしてるんだ。分かってくれ」

『ねぇザック。その爆破する時って、私にも伝えてくれるよね？』

ザック「………あぁ。だがそこに戒斗が居たら直接は伝えられないだろ。俺が何らかの合図出すからその時、な」

『うん、分かった。………ありがとう』

Aはとうとう涙を堪えられなくなり、嗚咽し始める。

ザック「戒斗、あいつがライダーになった時、お前にいつかウェディングドレス着せて、一緒にヴァージンロード歩きたいって言ってたぜ」

ザックはそう言って、Aをぎゅっと抱き締めた。

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