駆紋家の妹ちゃん。 【仮面ライダー鎧武】【駆紋戒斗】

行って来ますの不安。 ページ3

ドアに手を掛けたは良いが、直ぐにその手を引っ込めて、Aは振り返る。

玄関には未だ、Aを見送るべく立っている戒斗が居る。

戒斗「どうした」

戒斗が聞くと、Aは不安そうに答えた。

『…………友達、出来るかな』

その言葉を聞いて、戒斗も閉口する。

Aの脳内には、中学生の頃の記憶。

Aは家庭環境が最悪の時に生まれた。

それ故、人を信頼するのが苦手で、心から信じている人はほんの少し。

人見知りな部分も相まって、中学生時代の友達は居なかった。

それはもはや空気とも言える扱いで、名前すら覚えて貰えない程だ。

人を信じられない自分が悪いのは分かっている。

でも、親ですら信じられないこの家庭環境で、クラスメイトを軽々と信じてしまっても大丈夫なのか。

知らない人だからこそ、逆に何でも話す事が出来るとも言うがそれは本当だろうか。

この新しい出会いが吉と出るか凶と出るかと言う所だ。

戒斗「……大丈夫だ」

暫く経って、戒斗はゆっくり声を出す。

戒斗「不安になるな。お前は頭が悪いが心は広くて良い奴だからな」

戒斗はそう言ってAの頭を撫でた。

それだけでじんわりと心が温まる。

少しだけ元気になれた様な気がして、Aは薄っすらと目の縁に溜まった涙を拭う。

『……そうだよね。ありがとう、お兄ちゃん』

Aはにっこりと笑ってそう言う。

戒斗「こんな事で泣くな。お前は笑顔の方が良い」

『うんっ！！』

Aは笑顔で頷き、一歩、戒斗に近付く。

『じゃあ、いつもの、お願いします』

戒斗「は、はぁ？もう高校生なんだぞ。こんな子供か新婚しかしない様な事を恥ずかし気も無く言うな」

『え〜…お兄ちゃんだから恥ずかしくならないんだよ〜。良いでしょ？兄妹なんだし』

Aが言うと、戒斗は溜め息を吐きながらAの頬に口付けた。

戒斗「行って来ますのキスとか本当アホらしい……」

そんな事を言いつつしてくれる戒斗は良い兄である。

Aはすっかり元気になって、玄関ドアを開けた。

『行って来ます！！！』

戒斗「………行ってらっしゃい」

いつかは誰かと。→←入学式の朝。

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