都市伝説……3 ページ3
クラスメイトの一人が小さく悲鳴を漏らした。
「な、なにこれ……怖い!」
「もう一度しよう?こっくりさん、こっくりさん、お帰りください……」
呼びかけるけれど、十円玉は“いいえ”の文字から動かない。
「もうやだ……アタシ、帰る!」
『……、待って』
一人が十円玉から指を離してしまった。
こっくりさんが来ている時にしてはいけないことをしてしまった。
「もう二度とこんな事しないから!」
すると次の瞬間、彼女は文字通り目の前から消えてしまった。
知人の不自然な消え方に、他の二人にも動揺が走る。
「××!?」
「う、そ、消えたの!?」
「ヤダ!お願い、帰ってよぉ!!」
泣きながら彼女たちが十円玉に願う。
「動け、動けぇ!!」
『……あ、ダメ……!』
もう一人の女子が十円玉を意図的に動かそうとした。
すると、十円玉を触っていた右の手首を残して、そこから先の体が無くなっていた。
「助けて……だれかたすけてぇえ!!おま、お前のせいだ!お前がこっくりさんなんてやりたいって言ったからッ」
残念ながら、私は一言もそんなことを言ってない。
こっくりさんをしたいという彼女たちに参加しただけ。
まあ私も、実際に誰かが消えるとは思っていなかったけれど。
「やだぁ……おかあさん……」
『……こっくりさん、こっくりさん、これで満足ですか?』
試しに質問してみると、十円玉が動いた。
「あ、と、ひ、と、り」
ゾッとする内容に、彼女はさらに怯えた。
『……こっくりさん、こっくりさん、おしまいにしますか?』
十円玉が動いた。
“はい”という所に止まった。
「よ、よかった……?帰ったのね……?」
“おしまいにするか”という質問に対しての“はい”。
彼女はほっとして十円玉から指を離し、そして……
『……こっくりさん、こっくりさん、おかえりください』
「た、の、し、つ、か、つ、た」
十円玉がひらがなの上を行き来し、最後に鳥居のイラストの中へ収まった。
重かった空気が消え、緊張の糸が切れた。
私は今日、一度に三人ものクラスメイトを失った。
ゾクゾクする貴重な体験を引き換えとして。
『……帰ろ。』
こっくりさんの紙と、使った十円玉をランドセルの中に入れて教室から出た。
思ったより時間はそんなに経ってなく、そらは朱色のまま。
私は今日のことを自由帳に書き記した。
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莉無花(プロフ) - この作品とても好きなので気長に更新されるのを待ってます! (3月7日 23時) (レス) @page21 id: 719394875f (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - 特異な主人公…だがそれがいい。丁寧な口調と文章がよりおどろおどろしさを感じさせてグッときました。伏線や未だ明かされていない部分があるので気になりますね!続き気長にお待ちしています。 (2022年6月19日 22時) (レス) @page21 id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 某平安トリップ教育アニメ、カズマくんスタイルって何が元ネタ?調べても出てこない… (2021年12月1日 13時) (レス) @page17 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
エドワールド(プロフ) - コトリバコとかも出したりしますか?もし出すとしたらイッポウ〜ハッカイまでのどれを出しますか? (2021年11月30日 19時) (レス) @page21 id: 47a0ed334c (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 大好きな作品、続き楽しみ (2021年11月30日 18時) (レス) @page21 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黙秘権 | 作成日時:2021年6月11日 23時