6,蝋梅事件 ページ6
初冬の散歩で蝋梅を見つけてから約三ヶ月、2月半ばに、蝋梅の花が香りを強めてきた時だった。
高「蝋梅が間も無く撤去されるようです。」
『え!?!?どうして!?』
高「どうやら前から被害はあったようですが、ある事件が起きてしまった事が原因のようです。」
高「、、、、因みにA様、この事件の事は既にご存知で?」
『いいえ?どんな事件なの?』
高順がホッと息を吐いたのを、不思議そうに見るA。
高「事件は後宮の下級妃と、ある武官の間に起きました。」
高「下級妃と武官はお互い密かな友人だったようです。特に主上に知られてはならない関係ではありませんでした。」
この場合、主上に知られてはいけない関係とは、恋愛が絡む関係である。
高「二人が知り合ったのはつい半年前の事でした。下級妃が後宮に来たのが丁度半年前ですから、恐らく武官が宮殿まで案内した際に知り合ったのでしょう。」
高「その後二人は、夜中に人の目を盗んで頻繁に遭逢する程仲を深めたようです。」
高「そんなある日、下級妃があの蝋梅を武官にと、御自身で摘み取られたそうで。」
高「問題は無いように思われたのですが、時間の経過と共に毒が効力を増しているようで、未だその下級妃は寝たきりのようです。よって、蝋梅の撤去が即決されました。」
『、、、無知は罪ってやつね。どう摘み取ったら毒に侵されるのやら。』
蝋梅の毒は種子や葉にしか存在しない。
高「そうですね。、、、ですが、蝋梅が有毒である事も知らぬ程、知識に疎い者が、どうして態々贈り物に蝋梅を選んだのでしょうか?」
『花言葉よ。』
高「花言葉、、、とはどういったものなのですか?」
『高順知らないの?文字や言葉じゃなくて、その想いを花に託して贈る風習が、何年か前に、西の方で流行ったの。それが
高「それは知りませんでした。、、、では、下級妃はその花言葉についての書を読み、蝋梅を贈ろうとしたと?」
『かもね。蝋梅の花言葉は《慈愛》《奥ゆかしさ》《先導》。友情とも恋情ともとれるけど、唯の友達に花なんか贈らないし、よほど特別なんじゃない?』
高「このような事件になった以上、あまりこういうのは宜しく無いかも知れませんが、、、とても、風情があって良いですね。」
『うんうん。』
みんなも毒には気を付けよう。
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作者名:かんちゃん | 作成日時:2024年3月4日 0時