4,成長記録 ページ4
こうして1年余り月日が流れた｡
Aと高順が出会ったのが初夏の事だった｡
そして今､季節は秋の絶頂を終えようとしていた｡
Aにも､沢山の変化があった｡
まず､高順と仲が深まったことから､皇太子や阿多妃とも仲良くなった｡
高順の的確な指導のお陰で､読み書きが新たな趣味に加わった｡
最近は日記をつけたり､皇帝や皇太后､武官達などにどうでもいい便りを送ったりしている｡
便りを貰った者は口を揃えて｢癒される｣と言うらしい｡
どのような内容なのだろうか｡
高｢今日も日記をつけたのですね｡｣
『そうよ｡みてみて!!』
《今日は父様と義母様に会いに行きました｡
父様は優しい目をしていて大好きです｡
義母様も色んな面白い話をして下さるので大好きです｡
ですが､義母様が父様を見る目が鋭いです｡
睨んでいるように感じます｡
3人での時間は久しぶりで､楽しかったです｡》
高｢良い時を過ごされた様で何よりです｡､､ﾊﾊ､､｣
子供は大人の事をよく見ているな､､と再認識した高順(子供)であった｡
読み書きが新たな趣味に加わったことで､Aに落ち着きと気品の兆しが少しばかり見えてきた｡
相変わらずの『やってみよう!』精神だが､それも彼女の長所だと受け入れられるくらいには皇女らしくなったのだ｡
これには高順に天晴れと言う他無い｡
皇女らしくなったAは､様々な宴会や遠出にも付いて行けるようになった｡
｢勉学を通して人は大きく成長する｣という高順の言葉は､正しかったと言えるだろう｡
まだ礼儀作法は難しく､ニパーッと口を開けて笑いはするが､食事マナーが成っているので何も言うまい｡
そして様々な体験をし始めた事に当たって､Aが興味を唆られるものも新しく見つかった｡
それが《花》であった｡
興味を持つや否や､書庫から大量の本を持ってきて丸暗記するものだから､これには高順も驚愕だった｡
また､趣味までは行かずとも､特技もできた｡
舞を舞うことや､笛子を吹くこと､そして何処で習得したやら馬も乗りこなせ剣技の才もあった｡
才色兼備である｡
出来ないことと言えば､上品でいることと､琵琶などの弦楽器を弾くことであった｡
あと食の偏りが激しい｡
｢茎野菜は嫌い｡緑の味がする｡｣
｢椎茸は嫌い｡感触が気持ち悪い｡｣
｢魚は極力食べたくない｡骨抜きは好き｡｣
など､ありすぎるのだ｡
Aの立派な皇女への道は､まだまだ続く｡
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作者名：かんちゃん | 作成日時：2024年3月4日 0時
