11,侍女 ページ12
｢､､､高順様､貴方この事を重く受け止めていないでしょう?｣
高｢い､いえ､そう言われましても､､､｣
子供によく生まれる感情だろうな､と思っていたら､侍女に怒られてしまった｡
自分よりずっと年上の女性に怒られると､身内に怒られるよりも遥かに緊張する｡
しかも今溜め息を吐かれた｡
｢私はまだお嬢様に乳母がいらした時から､お嬢様のお傍におります｡彼女がどのような立場に置かれ､周りからどう思われ､そして彼女がそれらをどう受け止めているのか｡私が一番理解していると自信を持って言えます｡｣
｢､､､お嬢様には､母親が居りません｡乳母や侍女､皇太后様が居れど､やはり母親にはなれない｡貴方も､実母の存在がどれ程大きなものか､お分かりでしょう?｣
高｢､､､はい｡｣
｢実際にその目で母親を見なくとも､お嬢様はお腹の中で､時間を共にしております｡その時点で､他人にはなれない｡故にお嬢様の心には､最初から穴が空いてしまっているのです｡｣
｢その穴は深くて､半端なものでは埋められない｡だからこそ､私達侍女や､主上様､皇太子様､そして貴方が､それはそれは入念に彼女を愛してやれねばならないのです｡｣
｢それだと言うのに近頃の主上様と言い､皇太子様と言い､顔も見せなければ手紙も少ない｡､､､忙しいのは重々承知しておりますが､2人ともお嬢様を何だとお思いで?｣
何だか怒りの矛先があらぬ方向へ向いている気がする｡
｢あんなに小さなお嬢様に1人で住まう大きな部屋を設けて閉じ込めて､その上少し使えるようになれば遠出を要求して､その割に本人は会いに来る素振りも見せない!!｣
高｢お､落ち着いて､､､｣
｢何ですか､お嬢様は彼らにとって唯の駒ですか!?｣
高｢そんなこと､､､｣
｢今まで上官達にしてきたように､お嬢様は都合が悪ければ消される程度の存在なの!?直々の跡継ぎでは無いから?冗談じゃないわ､実娘よ!?｣
高｢う､､､｣
心当たりがあった｡
｢一緒に生活しないから､きっと彼らはわからないでしょうけど｡彼女はまだまだ子供で､1人で何でもこなせる程立派じゃない｡でも､それで良いのよ｡そうあるべきなの｡｣
高｢､､､それは主上も､理解しているご様子です｡｣
｢､､､そうね｡頭に血が上ってしまったわ｡ごめんなさい｡｣
｢それで､私は貴方に1つお願いをしたいの｡｣
｢もっとお嬢様のことを見てあげて｡一番大切にして､護ってあげて｡これは､貴方にしか出来ないことだから｡｣
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作者名：かんちゃん | 作成日時：2024年3月4日 0時
