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10,単純 ページ11

『知りたくなかった〜、、、、』

Aは絶望と疲労を感じる表情をしながら、申し訳無さそうな阿多に手を振り、帰路についた。

道中ずぅーっと下を向いて歩くものだから、お付きの侍女達に心配をされた。

阿多のいる後宮から自室までは、今回乗り物は使わないにしろ距離はある。

故に沢山の女官や武官達とすれ違う訳だが、まるで萎れた花のように陰気臭いAに、皆驚いて、声を掛けることも出来なかった。

「A様、、、も、もう随分と歩きましたし、、、一度休憩しましょうか?ほ、ほら、綺麗なお花も咲いておりますよ。」

『いいわ。疲れてないから。、、、それに、』

『この花は2日前に見たもの。高順に花言葉を教えた。貴方達も着いて来てたのだから、覚えてるでしょ?』

「えぇ、、、勿論、覚えておりますわ。」

その花の名は

<寒芍薬>。

花言葉は

<追憶>

<私を忘れないで>

<私の不安を取り除いて>。

ここで侍女達や高順のことを想起させるような発言は控えるべきだったか、、、と話し掛けた侍女は後悔した。

『貴方達は、いつまで私に仕えるつもり?』

「許される限り、私達は貴方に仕えて参ります。」

『でも、貴方達はお父様から言われたから私に付いているだけじゃない。』

『てことは、、、私が行かないでと言っても、辞める時は辞めなきゃならないの?』

『“私の”侍女なのに?』

「あの、お言葉ですが、A様が思われている程、侍女や付き人は変化するものではありませんよ。」

『それは知ってるけど、、、』

侍女達の宥めるような表情に、急に自分の子供らしさを感じ、素直になれないA。

気持ちは晴れぬまま、自室に着いてしまった。

高「お帰りなさいませA様。、、、?」

いつもは『ただいま!!』と元気よく返事をするAが、下を向いたまま通り過ぎていくので、どう見てもおかしい。

阿多に何か悪戯な事を言われた訳じゃ無かろうと、高順の経験が語る。

じゃあ一体なぜ??

幼い頃から一番傍に居るであろう侍女にどうしたのだと顔を向ける。

「、、、高順様、少しこちらに。」















Aの部屋から出て、扉を閉めた侍女の顔は何処か悲しそうだった。

そういえば、お互い毎日顔を合わせる割に、こうして2人で話すのは初めてかもしれない。

「これは少し複雑で、とても表現しづらい事ですが、、、」

「お嬢様は、とても寂しがっているのだと思います。」

高「、、、はい。」

想像していたよりも簡易で単純だ。

11,侍女→←作者のひとりごと



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作者名:かんちゃん | 作成日時:2024年3月4日 0時

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