2,まるで監獄 ページ2
皇女の誕生からはやくも4年が経った。
皇女の名前はAと言う。
相変わらずの美貌はさらに磨きが掛かるように、艶々と輝いている。
流石に実娘には手を出さまいと、
そんな美貌とは相対して、Aは超がつくほどのお転婆娘だった。
それもこれも、屈強な武官や文官が行き来する宮殿で育って来たからな訳であるが、乳母や侍女が脱帽する程の元気さで、彼女達は何処でこうなったのだと頭を抱える毎日である。
仕方あるまい、武官や文官もこんなに可愛い子供には構いたくもなる。
構い方が少々ワイルドなのだ。
そうして今やAは、特技が木登りだったり悪戯だったりと、最早皇太子より運動神経抜群だ。
泥んこまみれで帰ってくる事など日常茶飯事。
誰も手に負えなくなっていた。
それを半年以上も放置し続けてしまったのはAが時折作ってくる花冠に丸め込まれるせいである。
しかしこれでは皇女として示しがつかない。
宮殿は危険がいっぱいであり、学も常識も無い女は嫁ぐ宛てなど無いだろう。
それが例え皇女だとしても。
そしていざ勉学をさせる訳だが。
『みてみて〜、とうさまのかお!』
上手くいくはずもない。
こうして皇帝はやり方を変えていく。
最終的に、広い部屋に閉じ込める形になってしまった。
やっと上手くいった。
Aが勉学に励んだ功績を見て、皇帝は安堵した。
のも束の間。
5日も経たぬ内に、Aが脱走をしてしまった。
これには皇帝もお手上げで、皇太后に助けを乞うた。
后「あの子は母親を知らないものね。お手本が居ないんだわ。」
流石義母である。
忙しいとはいえ、皇帝よりもしっかりとAを見ていたに違いなかった。
さて皇帝は、《お手本》を付けることにした。
だが侍女に頼んでも皆降参するだろうしどうしたものか。
そこで思いついたのは、皇太子の付き人(見習い)として、確かな功績と謎の育ての才能を発揮している齢9歳、実年齢7歳の少年だった。
その効果はあったようだ。
何時ものように護衛の目を掻い潜り、抜け出そうとしたAの前に立ち塞がった少年。
「何処に行かれるおつもりですか。」
『!!!!っだ、だれ!?!?』
「驚かせてしまい申し訳ありません。お初にお目にかかります。」
高「高順に御座います。」
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作者名:かんちゃん | 作成日時:2024年3月4日 0時