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三宅side
俺の話を聞いてくれた後、彼女が「私からも伝えたいことが」と、切り出した。
「み……健。あのね、もうあの人はウチに来ないと思うんだ」
染み付いたクセだし、仕方ないことだとは思いながらも、またも三宅と言いかけたのにはさすがに笑いそうになった。
「マモル?」と名前を出すと、
恥ずかしそうに俯きながら「うん」と頷く彼女。
「あの人、そんなに根気強いタイプじゃないから、もう私のことなんて忘れて新しい女の子といるはずよ」
彼のことを熟知している口ぶりに、また少し心が傷つく。
「だからね、もう大丈夫だよ。支えてくれて本当にありがとう」
にっこり笑うAに、俺は返す言葉がなかった。
彼女を"仮の恋人"だなんて名目で曖昧に繋ぎ止めたのは俺。
こうでもしなきゃ彼女を守れないという発想が、
我ながら情けなくて恥ずかしくなる。
あの後どんな会話を交わし、どうやって店から出たのか、あんまり覚えてないけど気づいたら自宅アパートにいた。
「A、じゃあ気をつけてね」
「ありがとう。健……くんも。明日から気をつけて行ってきてね」
「ありがと。おやすみ」
「おやすみなさい」
お隣の玄関扉がパタン、と閉まるのを見届けた。
彼女の優しくて甘いにおいと、
なぜか知らないはずのアイツのにおいがした気がした。
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ヨ-リン(プロフ) - 西鶴さん» 西鶴さん、いつもありがとうございます。同じくです。ずっと音楽や映像を見て浸っています。 (2022年3月17日 23時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
西鶴(プロフ) - (元 藍琉)私も未だに未練タラタラでYou○ube ○usicで音楽聴いて、You○ubeで動画見て、CDを流しての繰り返しです。 (2022年3月12日 14時) (レス) @page18 id: 6dde35b37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨーリン | 作成日時:2022年2月22日 23時