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春は一瞬で過ぎ去り、夏に向かって1段飛ばしで進んでいく日々。
私の手を取って、車道側を歩く三宅くんが言う。
「俺の行きたいとこばっかになってるけど、ホントにいいの?」
ごくシンプルに「休みの日、デート行こ?」と誘ってくれて、私の"何でもない休日"は"デートの日"になっていた。
「うん、楽しいよ。普段どこにも行かないから、全部新鮮だもん」
「そーお?」
パート先と自宅の往復生活の私には、
例えば人気のカフェとか、オシャレなパスタ屋さんとか、ファストフード店ですらほとんど縁がない。
だから、彼が連れていってくれる場所はどこだって楽しかった。
「それより大丈夫かな?私と手なんか繋いで」
「あ、ごめん。イヤだった?」
「ううん、そうじゃなくって。バンドやってるんだよね……?」
「あー。それは大丈夫」
まだ売れてないし?と付け加え、ちょっとバツが悪そうな顔をした。
私、悪いこと言っちゃったかも……。
「あっ。ねぇ、次ココ行こ!夏服見たくない?」
首から提げたスマホを私に見せながら彼が言う。
「Aのこと、かわいくしてあげるね」
屈託のない笑顔を向けられる。
純粋な瞳が痛いほど刺さる。
「A、だいじょーぶ?」
そう聞かれてやっと、私は自分がフリーズしていたことに気がついた。
「あ、うん!行こ行こ」
大きく頷くと、ぎゅっと手を握りなおして、少しだけ強く引っ張っられる。
遅れないようについて行く。
大丈夫。
彼ならきっと。
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ヨ-リン(プロフ) - 西鶴さん» 西鶴さん、いつもありがとうございます。同じくです。ずっと音楽や映像を見て浸っています。 (2022年3月17日 23時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
西鶴(プロフ) - (元 藍琉)私も未だに未練タラタラでYou○ube ○usicで音楽聴いて、You○ubeで動画見て、CDを流しての繰り返しです。 (2022年3月12日 14時) (レス) @page18 id: 6dde35b37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨーリン | 作成日時:2022年2月22日 23時