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「そうだったんだ……。ごめんね、いつも巻き込んで」
「いーよ、それは。てか何ニヤついてんの?」
「三宅くん、大家さんとマモルのモノマネ似てたから」
口元を隠そうにも、もうバレちゃったから誤魔化しようがない。
「笑い事じゃないんだからね!? 彼、また来るかもしれないんだよ?」
「そうだよね……ごめん。ホントたくさん迷惑かけてしまいました」
しん、とした空気が流れる。
もう仲良しのお隣さんのままではいられない、という現実が頭の中によぎった。
「今、思ったこと当ててあげよっか」
彼の大きな目は、パチパチと瞬きをした。
「え?」
「引っ越さなきゃ。でしょ?」
「うん。正解」
そう、それ以外に方法がない。
ボロっちいアパートだったけど、その分安くて、
しかもお隣さんはこんなに素敵な人だ。
悔しいなぁ。
元彼氏の本質を見抜けなかった私が情けない。
「ダメだよ」
「え……?」
「俺の隣からいなくならないで。だって寂しいんだもん」
きゅるんとした瞳がこちらを見てる。
私の心の中では、再び赤信号が点滅していた。
一時停止。
安全確認。
安全なら進んで良し。
「ここ数日、会えなくて寂しかった」
舞い上がりそうな気持ちにブレーキをかける。
まず一時停止。
「どうしてそこまでしてくれるの?」
安全確認。
「え?わかんない?」
そう言ってポカンと薄く開いたアヒル口が、かわいい。
いかん。
注意散漫になってしまった。
安全……
この状況において、安全とは一体どんな状態を言うのだろうか。
「ねぇ、今度マモルくん?だっけ。その人が来たらさ、なんて言って追い返すつもり?」
「うーん。そうね……」
マモルを罵る言葉なら、いくらでも思いつく。
二度と顔も見たくない、とか
他の女の子を撫でた手で触らないで、とか。
でも、たぶん私は言えないんだと思う。
いざ彼を目の前にすると、また世話を焼いてしまいそう。
「じゃあさ、俺が彼を追い返す口実になったら良くない?」
「え?」
「使ってよ。俺の事」
大きな瞳が、また私を見つめてる。
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ヨ-リン(プロフ) - 西鶴さん» 西鶴さん、いつもありがとうございます。同じくです。ずっと音楽や映像を見て浸っています。 (2022年3月17日 23時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
西鶴(プロフ) - (元 藍琉)私も未だに未練タラタラでYou○ube ○usicで音楽聴いて、You○ubeで動画見て、CDを流しての繰り返しです。 (2022年3月12日 14時) (レス) @page18 id: 6dde35b37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨーリン | 作成日時:2022年2月22日 23時