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おじゃましまーす、と彼は慣れた様子で私の部屋へ上がってくる。
「作り置きのスープもあるから食べていく？」
って聞いたら、
「マジ？やったー！」
とガッツポーズした両手を、上下にブンブン振って喜んでくれた。
「うんま！」
そうそう、私はこの顔を見るのが好き。
スプーンで掬って次々に口へと運び、懸命にもぐもぐと動かす姿はまるで小動物みたい。
可愛くて、一日の疲れが吹っ飛ぶくらいの癒し。
「Aちゃん、いっつもありがとう」
「いえいえ。私1人じゃ食べきれないから」
「今日は1人なんだ？」
ちょっと探るような視線。
目は大きくてくりくりしてて、ホント小動物みたい。
その目で見つめられると嘘なんて絶対つけない。
まあ、嘘をつく必要もないのだけど。
「三宅くん、私の彼氏知ってたっけ？」
「ごめん。出入りするとこ、たまたま見ちゃった」
「そっか。ごめんね、物音とかうるさくなかった？」
「全然。俺バイトだったからすぐ家出て行ったし」
これも貰っていいの？とクロワッサンを指さしながら、相変わらず水分量の多い目で私を見た。
「あ、やべ。こんな時間」
彼は慌てた様子で口を拭う。
「どっか行くの？」
「これからバイト！」
「まあ！よく働くねぇ。深夜、危ないから気をつけてね」
ふいに口からこんな言葉が出て、完全に親の気持ちになっていることに気づく。
ちょっと笑える。
「Aちゃんこそ」
「んー？」
「防犯面で危ないから、ホント外干しやめた方がいいよ。女の子なんだからね？わかってる？」
「ふふ、ありがとう」
ベランダ側は、ここに住んでる人しか来ないようなひっそりした小路。
それに「女の子」だなんてちょっと照れちゃう。
本当に心配性だな〜
って、それはお互い様か。
「じゃ、気をつけてね」
「ごちそうさまでした。いってきまーす」
この扉が閉まると、すぐに隣の扉が開く音がした。
ガタ、ゴト、と部屋の中を慌ただしく駆け回る音がする。
それからまた鍵の閉まった音がして、
カンカンカンと外階段を下る音が聞こえる。
ベランダから外を覗くと、
三宅くんが全力で自転車を漕ぐ姿が見えた。
太陽が沈んだ真っ暗な空。
数センチ開けた窓の隙間から冷たい風が吹き込む。
冬は、まだここにいるらしい。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 西鶴さん» 西鶴さん、いつもありがとうございます。同じくです。ずっと音楽や映像を見て浸っています。 (2022年3月17日 23時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
西鶴(プロフ) - （元 藍琉）私も未だに未練タラタラでYou○ube ○usicで音楽聴いて、You○ubeで動画見て、CDを流しての繰り返しです。 (2022年3月12日 14時) (レス) @page18 id: 6dde35b37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2022年2月22日 23時
