その3 ページ23
緊張を解そうとお茶の時間を挟んだところで、タイミングを逃してしまった私は、この状況をどう切り抜けようかと考え込むこと数十分。
どうやらそれは高杉さんも同じの様で、二人の間には再び重苦しい雰囲気が流れ始めた。
流石にこのままではいつまで経っても始まるものも始まらない、ということで私はついに覚悟を決めた。
「た、高杉さん…!」
「…何だ」
緊張からか、彼の名を呼ぶ私の声は少し上ずっている。
「高杉さんは…私が今日此処に来た理由はお解りですか…?」
高杉さんは暫く黙って私を見つめている。まるで目で続けろというように。
「…た、高杉さんが私に興味が無いというのなら…。その、どうぞ私をこのまま何事も無いまま帰して欲しいです…」
私の言葉に彼は眉一つも動かさず表情を変えることはしなかった。
少しやりづらさを覚えながら私は「だけど…もし…!」と、再び声を裏返らせながら話を続けた。
「もし、私に…少しでも気持ちがあるのなら…。私は今夜…心も、全て!貴方のものになりたいです…!」
恥ずかしさから部屋中を駆け回り、今すぐにでも頭をコンクリートで打ち付けたい衝動に駆られる。
…言ってしまった。
もっと綺麗に纏めて本題に入りたかったが、何せ私の足りない頭ではそれは難しい事である。
それに私は、あまり回りくどいのは得意ではない。
だから今までだって、ドストレートで彼に気持ちを伝えてきたのだから。
だがこの時ばかりは私のこの性格を恨んだ。
またしても長い沈黙が二人の間に流れる。
もしかしたらより状況は悪化したかも。このせいで高杉さん、答えづらくなったりしてないよね?…ああ、きっとそうだよ。
あー、私はなんて事を口走ってしまったんだ!
他に言い方無かったのかよチクショー!自分の頭の悪さにはホント呆れるぜクソがッ!!
だが此処で自己嫌悪に陥っても仕方の無いことだ。
言ってしまったものはもうどうする事も出来ないのだから。幾らわあわあ喚こうが何だろうが、どうにも出来ないのだ。
方法があるとすればそれは高杉さんの答えを待つしかない、と言うことだけ。それ以外はもう何もしないでただ黙っているのが得策だろう。
…なんて考えていた直後のことだ。
「何を言うのかと思えば」
高杉さんが、沈黙を破り先に口を開いたのは。
「…テメーは俺の事を一体何だと思ってやがるんだ?」
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ソラ - 小鳥遊。さん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえて嬉しいです……!! (2020年11月21日 3時) (レス) id: 91b092121c (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊。(プロフ) - うおおギャグ線たかあ!すきです!! (2020年11月15日 0時) (レス) id: f219b8854f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - みきゃんさん» お待たせしました!!これから夢主は戦場に出向くので是非最後まで見届けてあげてください!笑 (2020年8月27日 21時) (レス) id: 8e0ffc6cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 有頂天ボーイさん» ありがとうございます!!更新が遅くなって本当に申し訳ないです!!(^^;) (2020年8月27日 21時) (レス) id: 8e0ffc6cd3 (このIDを非表示/違反報告)
みきゃん - やばい…続きが気になりすぎる!夢主ちゃん頑張れ〜! (2020年8月25日 16時) (レス) id: 937adfbd17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作成日時:2020年5月9日 3時