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十三撃 ページ15

「ふっ…!」



それは噛み付くような接吻だった。
口の中に流れ込んでくる大量の血。
もう再生した童磨の舌は俺の口内を暴れ周った。

息の仕方が分からない。
鼻で息をするのにも限度がある。

童磨はそんな俺の様子を見て楽しそうに瞳を細めた。


ついに俺は、



ゴクリ…



鬼の血を、呑んでしまった。



「ハァッ…!!」



その瞬間カッと熱くなる身体。
童磨は満足げに口を離すとペロリと舌舐めずりをする。

熱い…!まるで身体の芯が燃えているかのよう…!
ひたすら歯を食いしばり身体が耐えきれないような痛みに目を強く瞑る。

鬼に、なりたくない…!
嫌だ…!誰か、俺を殺してくれ…!




童磨「ようやく飲んでくれたね」




息が、できない。
ヒューヒューと喉奥で音が鳴る。
まるでお酒を飲んだかのように胸焼けがする。




童磨「さあ、瞳を見せて」




童磨はこんな俺を見て微笑んだ。
縛られた腕を解いた瞬間、俺はドサリと床に倒れる。
苦しくて、喉が焼けるような痛みに俺は喉に手を当てる。

体を丸め、痛みに耐えるが童磨がそんな俺を許さない。
床に倒れた俺の顎を掴むと上にあげた。




童磨「ああ、綺麗だよ。
食べちゃいたいくらいに」



童磨はそう言って舌舐めずりをする。


ああ、こんな奴の遊び道具になってしまうなんて。



俺はまだ無力だった。
女を押し殺して、男として生きてきた俺に童磨は最高な屈辱を与えてくる。
今まで紅も白粉も何も塗らず、女とはかけ離れた分厚く硬い手で刀を振るった。

身を捨てたなのに、何もかもこの鬼によって無駄に変わった。
何もかも全て、無駄なあがきだったのだ。

お館様は鬼になった俺を見放すのだろうか。
いや、そうしてくれ。鬼になってしまったら自我を保てない。
柱だった俺を誰かが殺すことを願うことしかない。



「…油断するなよ童磨ッ…!
必ずお前を殺す鬼が現れる…!
絶対にな…!!」



俺はそう言って童磨を睨みつけた。
童磨は心底楽しそうに俺の頬をなぞる。
どんどん視界が霞んでくる。

ああ、もうだめだ。
ごめんね八重子(やえこ)

お姉ちゃん…なんにもできなかった。



私の瞳には童磨ではなく、八重子の笑ってる姿が見えた。
私はその希望の光に手を伸ばした。
でもその手は空をきって、フッと視界が暗くなった。


そのまま私は、意識を落とした。

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❤︎ - おわり…?!!凄く面白かったです!続きが気になる〜〜!!ありがとうございましたっ! (8月23日 16時) (レス) @page25 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
礼音 - 良し…童磨推しにはとてもい良い!面白かったです!😂続きも出してほしいです〜〜!(*^^*)楽しみにしてます! (2023年1月2日 22時) (レス) @page25 id: 80495820b7 (このIDを非表示/違反報告)
シロヌコ(プロフ) - 童磨すこすこのすこすぎる!この病み具合がとってもスコ (2022年8月18日 13時) (レス) @page25 id: 09da8bad9a (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 更新楽しみにしてるのでまたお願いします!! (2021年10月17日 1時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
笹音 - この話を考える時点で天才 (2021年7月22日 17時) (レス) id: cf55aa82ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュウマイ x他2人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月19日 15時

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