９ 握力 ページ9
ゼビル島に近づく直前、Aはポケットの携帯が振動し始めたことに気づくと１コールもしないうちに出る。電話をかけてきたのはキルアの母親であるキキョウで、Aにとっては仕える主人のうちの一人だ。キキョウはAが出るなりハイテンションで挨拶をし、キルアの様子を伺う。ゴンと話していたキルアはAへ近づくと、誰と話しているか察したのかAを睨みあげた。俺に携帯を渡すなよ、といった顔だ。そんな彼に大丈夫ですよ、とコクリと頷くと彼は安堵した表情で床にへたり込んだ。
キキョウを嫌うキルアに反抗期だな、とAはほくそ笑むと電話口に意識を向ける。
「ホホホ･･････、元気そうで良かったわ･･････それでねA、最終試験が終わったらキルを連れて帰って欲しいの」
「キルア様をですか？？」
横にいるキルアをチラリと見る。キルアも何かを察したようでAに目を合わせることはなく真っ直ぐと海を見ていた。キルアも覚悟はできているようである。Aはコクリと頷くとわかりましたとだけ言って電話を切る。キルアの隣に腰掛けると彼はポリポリと頭を掻いていた。「はぁー、また鞭打ちかよ」そう言って足を投げ出す。
「坊っちゃま」
お行儀良くしてください、と伸ばされた足に手を添え折りたたむ。「わかってるよ」と言ってツンケンする彼の態度にAは頬を引っ張った。キルアは軽く悲鳴を上げると、負けまいとAに摘まれている方の腕を掴む。Aは涙目になって腕を掴んでくる主人の力が強くなっていることに気づき、微笑ましくなり口元が緩む。この数日間の試験でこうも力がついたのか。微笑んだ状態でキルアを見つめていると彼もこちらを向いて眉を顰める。「何ヘンな顔して見てんだよ･･････気持ち悪ィ」そう言う主人の空いた頬をもう片方の手で思い切りつねってやった。
「痛ってぇ〜〜！A！待ちやがれ！」
「捕まえられるなら捕まえてご覧なさい！」
ゼビル島へ向かう船ではメイドと少年の鬼ごっこが始まっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 177人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chain.(プロフ) - 七面鳥ぱんさん» 七面鳥ぱんさん！好きと言って頂いてありがとうございます😭✨全然更新できてなくてすみません💦 (2022年6月27日 20時) (
レス) id: 8c2c14010e (このIDを非表示/違反報告)
七面鳥ぱん(プロフ) - めちゃ好きです (2022年6月19日 2時) (レス) @page10 id: 54cc13708a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：chain. | 作成日時：2022年5月7日 18時
