オムライス

＊ ページ15

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やっと拳士と遥輝から逃れて







去年の道のりを思い出しながら、歩いて店へと向かう。








この１年、Aとは頻繁に連絡を取り合っていたから、敬語もとれて、
お互いをA、卓ちゃんと呼び合うようになった。









Aは何度か試合にも足を運んでくれて、その都度食事に行ったりもした。








全く会えなかったわけじゃないけど、会えるとなると、やっぱり心が弾む。







俺、いまニヤけてへんかな？








Aの笑顔を想像すると







自然と足が早まった。









しばらく歩いた先に見えた、相変わらずこじんまりとした店。







店の外観、柔らかな照明…１年前と何も変わっていない。







扉には、きちんと『close』のプレート。







ドアを開けたら、Aになんて言おうか






久しぶり、だと堅いかな






ただいま、は変だな








ワクワクとドキドキが入り混じって






感情が忙しい。







ドアノブに手をかけて、ひとつ深呼吸をしてから扉を引いた。








すると、ふわっといい匂いが鼻を掠めて、厨房でAが作業をしているのが見えた。







手元から目線を上げて、俺の顔を見るなり







その顔に、ぱぁっと笑顔が咲いた。









『いらっしゃい、卓ちゃん』









fin*

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