まもりたい (ページ38)

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雛side

『田中ー！ここの問題解けるか？』

担任の先生は指名制で発表させるらしく、
適当に当てられてるらしい。
田中という子が当てられて立ってるけど、
答えが出ないらしく、時が止まってる。
しばらくすると、生徒たちも騒ぎ出した。

『はよこたえろやー！』

『わからんっていえばええやん！』

『おまえ、いつもそうやん！』

『だからきもいんだよ！』

男子たちがそう声を上げて騒ぐけど、
担任は聞こえたはずなのに止めようとしない。
じっとして答えを待つだけ。
なんで？

『あー！たなかがもらしたー！』

『うわっ、くさっ！』

『きたねー！』

保護者たちもザワザワとし始めた。
田中さんは真ん中の方の席。
周りの子達が机を離してはやし立てた。

『え、たぁくん？きたないよ！』

『だめだよ！たぁくん！』

そんな女の子たちの声が聞こえて、
田中さんの方を見ると、
たぁくんが雑巾を持って拭いていた。
どんな声も聞こえないかのように、、。
そして、その隣には隆平くん。
たぁくんと一緒に拭いてくれてた。

忠『ほけんしついこ？』

隆『大丈夫やで。』

たぁくんと隆平くんは、
田中さんの手を掴んで教室を出た。

隆母『優しいんですよ、たぁくんは』

雛『隆平くんも優しいんですね、』

隆母『たぁくんについて行ってるだけですよ
たぁくんがやることを真似するんです』

私達も保健室に向かった。
あのカッコイイ小さな背中を追いかけて。