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「すまない、待たせてしまったようだな」
そう言ってグルッペンがこちらを覗き込むように屈んでくる。
「……いえ、何か考えておられる様でしたので。それに、こちらの方々に構って貰えました」
「ふは、気遣いもしてくれるのか。……星の子よ、私たちと取引……否、契約をしないか?」
「……契約ですか」
「ああ。私たちからの希望は主にふたつ。君のことを調べたいのと……そうだな、君の居た世界とやらについて知りたい。現に知りたすぎて挙動不審になってる奴もいる事だし」
「私が契約するメリットとは?」
「この国で自由に活動する許可を与えよう。我々はかなりアクティブに動くからな、タイミングが合えば遠方の土地にだって出向く。どうだ?」
「……それについては、私は」
「先に言っておくが。私たちの対応は優しすぎる。本来なら君は既に肉塊と化して解剖されているだろうな。
だがシャオロンは君のことを保護して連れて帰り、私は共存の選択肢を与えた。他国であればその選択肢が存在することすら知らず、良くて愛玩動物、悪ければ先程のようなことになる。……君の居た世界ほど優しくは無いのだよ」
「……生命の保護、ですか」
「いくら未知の生命体だとしても存在する限り"終わり"は存在する。抗えない最期がな。実在があるのなら死は存在する。死が存在するならば、殺すこともできる。
その道程が長ければ長いほど、君は耐え難い苦痛を受けるだろうな」
意地の悪い顔をしている。仮面越しだとはいえ感情が漏れているのか、たじろいでいるのは知られているだろう。
選択肢はふたつにひとつ。……だが、自分の使命の都合上、人前に姿を晒すのは不可避だろう。
「あなた方が信用出来るという根拠は?」
「私たちの初期の対応が全てを物語っているだろう?シャオロンは君を連れて帰り、しんぺい神は君を患者用のベッドに寝かせた。拘束具なんかは付けてなかったし、付けたとしても君が抵抗したという理由がある。まァ、追々判断すれば良い」
「……分かりました。あなた方と契約をしましょう。ですが、私は神に仕え、使命を賜った身。あなたに忠誠は誓えません」
「ああ、構わない。主従関係ではなく、対等な友人関係と行こう」
「えぇ、そうですね。……その方が、息苦しくない」
「主従となったらこいつら以外に素を出すのは難しいからな。互いに企んでいる者同士、仲良くしようじゃないか」
お久しぶりです。ログイン出来なくて焦りました。
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作者名:あまがし | 作成日時:2022年3月20日 21時