検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:1,641 hit

6 ページ7

.


 Aが降ろされると、そこは大きな扉の前だった。ただでさえAはシャオロンの腰程度の身長しかないのに、人間ですら大きいと思うこの扉は威圧感を放っているだろう。
だがAは大して臆することなく、乱れた髪を結い直していた。
「ここが会議室や。中央に行って礼でもすりゃ大した無礼にはならへん」
「そうですか。皮肉のひとつやふたつやみっつ言ってやろうと思いましたが、光の子に免じて控えておきます」
「言うつもりやったんや……ほな入るで」
 呆れたように神の字を持つ男……しんぺい神が笑いつつ、会議室の扉を開いた。
その瞬間、冷たい気配と視線が感じられた。一番奥の彼だけは違うみたいだが、概ねの感情として歓迎ムードではないらしい。Aはさして気に留めず入室する。自分の席に向かう二人と別れ、Aの居るべきスペースであろう中央に歩む。目の前に居る彼だけ何故か視線の意図が違うようだが、Aに計り知ろうとする考えはなかった。
 星の子との交流に使っていたエモートを思い出し、無難に礼をしてみる。ほぉ、と息を吐くのが聞こえる。大方、知性はないと思われていたらしい。
「初めまして、私はAと申します。貴方がこの国の大精霊様でしょうか」
「ふむ。大精霊とやらが何なのか非常に興味はあるが、答えは否だ。私はグルッペン・フューラー、この国で総統をしている」
「そうとう……」
「簡単に言えば軍のトップ、だな」
「あぁ……成程。大精霊様ではなく、人間の兵隊様なのですね」
「そうだ。さて……次は君が質問に答える番だ。単刀直入に問おう、君は何者だ?」
「私はただの星の子にございます。神より使命を賜り、この世に迷い込んだ星の子を導く為にこちらへと参りました」
「星の子、か……聞いたことは無いな」
「当然です。星の子は本来、こちらには存在しません。ですが……繰り返される転生の際に起こった綻びによってあるべき所に帰れない星の子が現れてしまうのです」
「夢幻の様な話だな、嘘を吐いていると言っても……その本人がここに居るのか……あ〜トン氏、どうしたらいいんじゃあ〜!」
 突然話し方が砕けたグルッペンに、Aは硬直する。明らかに外面であったのは分かるのだが、目の前の男は頭を抱えている。首を傾げて周りを見るも、ゲラゲラと笑っているのみだった。

7→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , d! , クロスオーバー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あまがし | 作成日時:2022年3月20日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。