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「取り敢えず、暫くは此処にいて欲しい。大人しくしてくれるなら拘束は解くし、君に悪影響を与えない」
「そんなことをして私にどんなメリットが？いえ、あったとしても時間が惜しい。私は使命を全うするのみですから」
「……交渉決裂だ。シャオロン」
諦めたように神の字を持つ男が言い出し、呼ばれた琥珀は服のポケットから拘束具……手錠を取り出す。後ろ手にされたままそれを着けられ、ベッドへと放り出された。
「わ、ぷ」
「君も頭が硬いね、危害は与えないって言ってるんだから少しは柔軟に対応しないと痛い目見るよ？」
「どうするんや、ペ神。グルッペンに報告でもするか？」
「うん、お願い。取り敢えず幹部会議にかけて対応を決めてもらおう」
「OK、じゃあそいつ見といてや。報告してくる」
そう言って琥珀は退室した。
なんとか起き上がったAは、強く男を睨む。神を名乗っておいてこの有様か。仮面越し故に表情が見えることは無いが、怒気が滲み出ていた。
そんな様子を理解しているのか、男はAに近付いてくる。後退するも、ここはベッドの上。すぐに端まで辿り着く。男は我関せずといったふうにAの傍に寄り、仮面に手を掛けられる。
「……え？外れない……？」
「無駄な試みですね。我々星の子に素顔なんてありません」
「それって、どういう……！それに、星の子なんて生物聞いたことも無いのに！」
「当然でしょう。あなた方が知る必要もありません」
そう言い放つと男ははぁ、とため息を吐き、離れていく。けれど確実にこちらを監視できる場所で椅子に座り、凝視してきた。そんな状態に居心地の悪さを感じていると、扉の開く音がした。
「ペ神、すぐに幹部会議開くって。あー……そいつも連れて来いって、グルッペンが」
「発作？」
「まぁ十中八九そうやろ。聞いたことも見たことも無い生命体とか食いつかんはずあらへん」
「平常運転やね……ほな行こか」
どうやら幹部会議とやらにかけられるらしい。Aは時間の浪費に酷く苛立ちながら、自分を抱え上げる琥珀に抵抗しないでいた。
どうせ今飛んで逃げたとしてもこの拘束具は外れないのだから。必要以上の抵抗は更なる浪費に繋がると、短期間のうちに学習していた。
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作者名：あまがし | 作成日時：2022年3月20日 21時
