星は主役の夢を見るか【d!!】×【S.k.y】 (ページ1)

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プロローグページ1

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　駆け抜ける。

暴風を見に受け、降り注ぐ岩を避ける。

青い光が遠くで揺らめき、近付くと不快感を催すような音が聞こえる。

「──」

　そう、暴風域である。
星の子として永久に近い生を受け、各地に散らばる光を星の元へ還す。それが、自分たちの使命だった。立ち止まってしまった仲間たちを救うために、原罪で羽を分け与える。たった一枚の貧弱な羽だが、石化してしまったその身を動かすには充分過ぎるほどである。

　そんな星の子にとって大切な使命であり、生きる意味を達成するための試練の場を恐ろしいスピードで駆け抜ける猛者が居た。
　区別名、A。星の子一人一人に決まった名前はない。故にAは、名前という記号を使って自分を確立させてきた。
飛べばその風に押し戻されるはずなのだが、その向かい風すら利用して高く舞い上がる。やがて風の影響を受けない場所まで辿り着き、優雅に舞う。

　背中には──否、Aが羽織るケープは煌めき、十一枚の羽が見える。
　他の星の子より早く原罪の入口に辿り着き、息を整える。暴風域への扉が開いた瞬間からずっと走り続け、飛び続けた。あがった呼吸が治まった頃、暴風域を見下ろす。

「──」

　喉からは声なんてものは出ない。星の子同士のコミュニケーションはエモートと呼ばれるジェスチャーと鳴き声。親密な相手とは意思の疎通を図れるが、それも単なる音の組み合わせで相手がどんなことを感じているか、何を伝えたいのかを理解する程度。完璧なものじゃない。

　ただ、その時だけは違った。

「暫く留守にします。……お元気で」

　そんな声など、誰も拾っていない。