キズナ【イナズマイレブン】 (ページ41)

今日:7 hit、昨日:7 hit、合計:15,416 hit

シゴト02 ページ41

「基山が、Aにだーいじなお話があるって」

いきなり何を言い出すの沙羅はっ！じょ、状況考えて言ってよね。

「基山、Aがだーい好きなんだってー」

「あうあうあ！？ば、バカっ！根も葉もないこと言って！やめてよね、ほんとにっ！」

足が震えて力が入らず、私は座り込んでしまう。ずいっと顔を近づけてまた何かを言おうとする彼女を、背後から伸びた手が制した。

「仲良いのはわかるけど……ちょっとやりすぎじゃない？」

き、ききききき基山君ーー！？

んん、と喉を鳴らし、私と基山君を交互に見る沙羅。

大丈夫？とこちらに手を差し出す基山君。

基山君の顔と手を目が忙しなく往復する私。

しばらくの間のあと、私は声を絞り出して、だいじょぶ、です……と自力で立ち上がった。

はあ、とこれ見よがしにため息をつく沙羅を無視し、基山君に向き直る。

「えっと、何かあったの？」

「切替早っ！」

「そこ、黙ってる」

「ははは……今日の放課後、理科室。修学旅行のしおり作るって」

「わかった」

じゃあ、よろしくね、と言って窓際の席に舞い戻る彼を見つめ、すっと視線をずらす。そこにはやたらと目を輝かせた沙羅がいて。

「なになに？放課後デート？やったじゃん！」

「残念でしたー。ただの委員会の仕事ですぅー」

「終わったら2人っきりの教室でいちゃいちゃしちゃうんでしょー？」

「さっさと部活行くけど何か」

「あら辛辣」

とかふざけ合って。まあ、本当の本当にただの仕事、しかも完全に雑用だけど、彼と一緒というのは素直に嬉しかった。同じ委員会なんだから当たり前だけども。

実は私は生活委員、つまり学級委員だったりする。すると当然、クラスのいろんなことを任されるのだ。

それは、起立、礼の号令だったり。

それは、クラスの配布物を持ってきて配ったり。

それは、教室の鍵の管理だったり。

その他もろもろ、いろんな仕事が回ってくる。そしてそれは、私の想い人の基山君も同じで。基本的に仕事は2人ペアでやるから、必然的に一緒にいる時間が長くなる。だから、基山君には悪いけど、仕事が回ってくるのを楽しみにしているのだ。

「……ご機嫌だねぇ」

「そう？」

放課後がとっても楽しみだ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊