キズナ【イナズマイレブン】 (ページ40)

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シゴト01 ページ40

「ああ、涼野が尊い」

眼福眼福、と言って、隣で風介を拝む友人でクラスメイトの沙羅に、この前までリュウジじゃなかったっけ、と言う。

「昔は昔、今は今！」

「とんだ尻軽女ね」

「イケメンが悪いんだし」

全く悪びれない彼女にため息をつくと、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ窓の方を見る。だが、それを沙羅は見逃さず、小突いてきた。

「ほらほら、おはようぐらい言ってきなよ」

「……ほっといてよ」

「はーやーくしーないーとキャピキャピ女子に取られるぞー？」

「そういうんじゃないし」

ついこの間まで沙羅の推しだったリュウジと談笑する基山君を目の端で捉え、沙羅に視線を戻す。

「もう、Aったら、照れちゃってー」

「照・れ・て・な・い」

「夢にまで出てきたくせにー」

「なにをう！？」

思わずガタンと椅子を鳴らして立ち上がる彼女に、周りにいたクラスメイトの視線が集まるが、すぐにおしゃべりを再開する。

「ぎゅーってされて、ちゅーってされたんでしょ？」

夢の光景がフラッシュバックし、否応なく頰に熱が集まる。せっかく忘れかけていたそれをわざと思い出させた沙羅に、机に置いてあったファイルで頭を叩いた。

だが、沙羅はニヤニヤ笑いを止めようとしない。なおもからかってくる彼女をもう1度叩こうとしたその瞬間。

「Aさん、ちょっといい？」

少し高いところから声が降ってくる。

「き、ききき基山君！？あえっとんとわあぁぁぁ！？」

思った以上に近かった距離と、先ほどの光景が相まって頭はパンク寸前。手に持っていたファイルを抱きしめて口元を隠し、驚異的な速さで壁側まで下がる。

「基山ー。ちょっとだけ待ってくれるー？」

「あ、ああ」

そんな私の反応を面白そうに、しかし苦笑しながら言う沙羅と、いつもとのギャップに戸惑う基山君。

沙羅は私に寄ると、こそっと耳打ちしてきた。