キズナ【イナズマイレブン】 (ページ39)

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コイビト04 ページ39

キス、された。

Aから、キス、された。

Aに、ファーストキス、奪われた。

甘くて酸っぱい、幸せで満たされたキス。

僕はさっきの彼女を思い出す。

長いまつ毛。潤んだ紫紺の瞳。赤く染まった頰。緩く弧を描いた唇。

(君はどこまで僕の心を揺さぶれば気が済むんだい？)

今すぐ彼女を抱きしめたい。今すぐ彼女にキスしたい。今すぐ彼女をーー

とそこで暴走する思考を止める。本当に、どうかしてしまいそうなほど、彼女が愛しくてたまらない。

もう、我慢なんてしなくていいんじゃないの？と思う。

Aからそういうことされたら、そういうことなんじゃないの？とか思う。

もし、今から僕が、君にキスをしたら、驚くだろうか。

暴走する妄想は、止まることを知らず膨らみ出す。

どうしよう。どうしようもないこの想いを、どうすれば君に伝えられる？

その答えは、もう出ていた。

「Aっ！」

名前を呼ぶと、肩を揺らして立ち止まる。その一つ一つの仕草に恋焦がれて。振り向く彼女がスローモーションに見える。それが、もどかしくて。

僕は彼女の腰を抱き、そっとキスを落とした。

触れ合ったところから伝わる彼女の体温に熱せられ、のぼせたように頭がクラクラする。きっと、そのせい、なのだろう。

これじゃあ、物足りない。なんて思ってしまう。

ふわふわとした意識の中、僕は角度を変えて何度もキスを落とす。もっと、もっと、もっと。僕の中に潜む欲が本性を現して、止まらなくなる。

Aが必死に息を吸おうとしているのに気づき、少し間を開け、彼女を眺める。凛とした雰囲気がやわやわになり、瞳に恍惚とした光が宿る。そして、艶やかさを増した唇が視界に入り、反射的に美味しそう、と思う。

僕は舌で唇を湿らせ、再び彼女の口を塞いだ。口を少し開け、ちろちろと彼女の唇を舐める。

早く、開けて。もっと、欲しい。

彼女の口の隙間を埋めるように、舌を入れる。触れるだけのキスとはまた違う、くすぐったいような感じ。濃厚で、甘くて、身体の底から熱くなるようなキス。

彼女が欲しい一心で、僕は彼女と舌を絡めた。

ーーそれから後のことは、よく覚えていない。

ーENDー