キズナ【イナズマイレブン】 (ページ23)

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シット03 ページ23

駄目だ。もう、我慢できない。

「A、」

「何………んっ」

名前を呼ばれたら、必ずその人の方を向く。そんな彼女の誠実さを利用し、俺は己の唇で彼女の口を塞いだ。

彼女の柔らかい唇に触れると体が火照るように熱くなり、充足感と優越感に満たされる。

ほんの数秒だったのか、それとも数分経っていたのかはわからないが、現状を理解した彼女が顔を離す。

「な、ななにしてんのよ、いきなり！バカ！」

「あ……悪い」

いやでも、これはあんな顔をしたAが悪い。あんな女々しい表情見たことない。

責任転嫁しながら唇に人差し指を当てると彼女の唇の感触が思い出され、ぶわっと頬が熱くなる。多分、今は耳まで真っ赤だと思う。

目を泳がせていると、なぜか逆にAの姿が視界に入った。口に手を当て、暗闇でもわかるほどに顔を赤く染め上げた姿を。……そんなふうにされると、勘違い、するだろ。

「その……嫌、だったか？」

思わずそう聞いたが、返ってきたのは予想の斜め上をいく答えだった。

「…………ファーストキス、なの」

「……は？」

「本気？」

「え」

「本気にして、いいの？」

繋がれた手をぐいと引かれ、一気に距離が縮まる。

上目遣いでこちらを窺うAに、惚れない人などいないだろう。俺はもう落ちてるけど。