キズナ【イナズマイレブン】 (ページ17)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:15,417 hit

ナカマ08 ページ17

ベンチに着くと真っ先に水分補給する。ふう、と一息つくとちょんちょんと背中を突かれた。

「Aちゃん。ちょっといい？」

「何？」

こっちきて、と手を引かれ、連れてこられたのは入場する時に待機していた薄暗い場所。士郎は壁に背を預け、Aと対峙する。

「どうしてパスしてくれなかったの？」

「“トリプルブリザード”は止められる。なら、私が入れるしかないじゃない」

「サッカーは1人でやるものじゃない。ゴール前でAちゃんがパスを貰えば、シュートできるでしょ。僕らだってそれくらいのサポートはできるよ」

「それだと、パス回してる間に取られるかもしれないでしょ」

「……今日のAちゃん、なんか変だよ」

少し間を置いてそう告げた士郎に苛立ちを隠さずに言う。

「どこが？普通だと思うけど」

「勝ちにこだわりすぎてる。そのせいでプレーが乱れていると思うんだけど」

それはA自身も感じていた。緊張でうまく動けずにディフェンスを避けるのがギリギリになっている。しまいには狙った方向にシュートが打てなくなっていた。

それでも、と心の中で呟き士郎の目を見据えて言った。

「私は勝たなきゃいけない。観客の……みんなの期待に応えるためにも」

「話はこれだけ？」なら、もう戻るよ、と言い背を向ける。その背中に士郎が叫んだ。

「本当に、勝つことだけが期待されているの？」

その問いかけに足を止めかけたが、すぐに再び歩き出した。

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