キズナ【イナズマイレブン】 (ページ16)

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ナカマ07 ページ16

「Aちゃん！」

「………！」

士郎が合図するが、Aは逡巡する。

もしまた“トリプルブリザード”を打っても止められるだろう。それならばパスをするだけ無駄だと判断し、単独で上がっていく。

「Aちゃん！？」

「A姉……士郎、アツヤ、下がるっぺ！」

パスの要求を無視された士郎は目をむく。珍しくなえが士郎とアツヤに指示を出した。

「1人で突っ走っても取られるだろ！何人かは前線にいた方が……」

「今はダメやっぺ」

「だからなんでだよ！？」

「Aちゃん……」

心配そうに彼女を見つめるなえと士郎。対照的に怪訝そうになえとA交互に見るアツヤ。そしてそんな彼らのことなどつゆ知らず、次々とディフェンスを突破していくA。

彼女の頭は「勝たなきゃ」という使命感に支配されていた。

「“ラスターカノン”……っ!」

最後のディフェンスを、ボールを蹴り上げて躱すと落下してくるボールを1回転しながらタイミングよく蹴る。ボールは銀色の閃光となって一直線に進む。

「真正面だと……？舐めるな！“かみな”…なに！？」

彼女の放った必殺技は突如弧を描くように軌道を変え、ゴールの左端に突き刺さった。

それと同時にホイッスルが鳴り響く。前半終了だ。

Aは金縛りにあったかのようにその場から動けずにいた。

先程打った“ラスターカノン”は彼女がわざと回転をかけていたわけではなかった。彼女は一直線にゴールを狙ったのだ。にも関わらず曲がったということは、彼女自身の技術が衰えていることを示唆していた。

喉がカラカラに渇き、心臓がうるさく鳴る。しかしこの動揺を悟られまいと一言も発することなく自チームのベンチへと歩いた。