キズナ【イナズマイレブン】 (ページ44)

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シゴト05 ページ44

大量のプリントの束を抱えて教室に逆戻りする。なんでも、しおりを留める棒みたいなやつはもう各教室に配ってしまったとか。

そんなこと知らないし、教室でやるんなら先に言ってよ。この荷物重いんだから全くもう。

とか、心の中で愚痴ってみるが、そんなことをしても何も変わらないので、黙って歩く。

「よっ……と」

器用に足でドアを開け、自分の机にプリントの束を置き、脇にリュックと鞄を置く。自分でも想像していなかった鈍い音が鳴った。

私は教室を見回し、基山君の荷物が置きっぱなしになっているのに気づく。やっぱりまだ戻ってきてないんだーー

とか思ってしまい、頭を降って思考を追い出す。私は目的の物を回収して机に置いた。

しおり1冊のページ数は28。表紙裏表紙を合わせて30ページ。A4の紙を2つ折りにして綴じるので、1冊に使う枚数は15枚。それを、1枚ずつ折って重ねて棒みたいなやつで留める。気が遠くなるような作業だった。

私は近くの机を横に並べ、ページが順番になるように紙束を並べる。立ったり座ったり面倒だが、この方法しか思いつかなかった。

私は一心不乱にしおりを作り始めた。

それからどれくらい時間が経っただろうか。空高く登っていた太陽は傾き、教室をオレンジ色に染める。私は半分くらいのしおりを作り終わり、軽く伸びをした。

「あと20部……部活、行けないなぁ」

基山君がいれば、今頃部活に行けていた。

基山君がいれば、もっと楽しくできた。

基山君がいればーー

「はぁ……」

ため息を溢し、私は、馬鹿みたい、と思う。

基山君と一緒にできるって勝手に舞い上がって馬鹿みたい、と思う。

きっと、基山君のことだから。忘れてるわけじゃないとは思うけど。

きっと、かわいい子に告白されて。基山君がそれを受け取って。今ごろ、キスしてハグして、いちゃいちゃしてるんだろうなぁ。

とか、思う。

けれど、そんなふうに僻んだって、どうにもならない。

だから私は、一言も発さずにずっと、紙を折り続ける。

25部目、完成。26部目、完成。27部目、かんせーー

「ごめん、Aさん！遅くなっ……」

突如としてドアが開け放たれ、基山君が入ってきて、謝ろうとする。それを遮って、私は、

「遅い。けどもういい。私やるから」

冷たく言った。

そりゃ、来てくれたのは嬉しいけど。もうすぐ終わるし。部活行きたいし。それに……本当に急いで戻ってきたんなら、もっと早くに来れたよね？

って。思ってしまって。