キズナ【イナズマイレブン】 (ページ34)

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アイノカタチ02 ページ34

僕だって、本当は辛い。イナズマジャパンを離れなきゃいけないのも、しばらくサッカーができないことも……Aちゃんと、一緒にいれないことも。

あと、少ししか彼女と一緒に過ごせない。その事実に胸がキュッと締め付けられる。……確かに、FFIが終われば一緒にいられるけど……それまでが、とっても辛い。イナズマジャパンにはカッコいい人がいっぱいいるし。

「あの！…戻って、来ますよね……？」

ごめんね、Aちゃん……僕はもう、ここには戻ってこれないんだ。ーーだなんて、言えないから。

「もちろん。日本に戻って、早く足直して戻ってくるよ」

「……ですよね！私、待ってますから！」

だから、早く治してください、と笑って言うAちゃんに、申し訳なくて。

ーーいや、これはただのわがままだ。ただ、僕がAちゃんに触れていたいだけ。

少し寂しそうなAちゃんに手を伸ばして、そっと抱き寄せた。

Aちゃんは、とても温かかった。体温が、というだけではなく、優しく包み込まれるような温かさがあった。また、胸がキュッと締め付けられる。でも、今度の痛みは辛くなくて……くすぐったい。

Aちゃんの匂い、Aちゃんの温かい体温、Aちゃんの柔らかい身体……彼女の全てにドキドキしてしまって。

「Aちゃん……僕…はなれたく、ないよ」

ハグしているだけでこんなにも幸せだなんて知らなかった。全身で、Aちゃんを感じられる。普段ならきっと、これだけで満足したのかもしれない。でも今、僕にはもうすぐ彼女と会えなくなる、という変えようもない現実があって。

強く、強くAちゃんを抱きしめる。

それは、僕の鼓動が彼女に聞こえてしまうくらいに。

それは、2人の間に空気すら入れないくらいに。

それは、僕と彼女が混ざって一緒になってしまうくらいに強く抱きしめる。

そっと頭を撫でてくれるAちゃんが愛しくて、こんなに好きだったんだな、と改めて思う。でも、この気持ちを言葉にはできない。