キズナ【イナズマイレブン】 (ページ30)

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スレチガイ06 ページ30

翌日の昼休み。借りていた本の返却期限が近づいていたため図書室に行こうとすると、Aに呼ばれた。

ここじゃ話しづらいから、と言われるがままに教室の隅の方に連れてこられた。

「どうかしたの？」

そう聞くと、決心したようにいきなり頭を下げられる。謝られるようなことをされた覚えがない私はうろたえるしかなかった。

「ごめんね、今まで。玲名の気持ち、考えてあげられなくて」

おそらく、今私は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていると思う。

「ほら、私、ヒロトの許婚だから。基山君とは付き合えないの。だから、私のことは気にしないで」

「私、もう基山君のこと好きじゃないから」

捲し立てるようにそう言われ、理解が追いつかない。

全然処理できていなかったけれど、彼女はとてつもない勘違いをしていて、今引き留めないといけないような気がした。

「玲名、明日の部活なんだけどーー」

「あ！教科連絡いかなきゃ！」

「タツヤ！？あ、A待って！……なんで…どうして2人して……！」

なんで、こうなってしまったの。せっかくタツヤの誤解が解けたというのに。

絶望感が胸中を支配する。そんな時に状況がわかっていないタツヤのキョトンとした顔が視界に入り、無性にイラつく。

何か言ってやろうと口を開くも、何も言わずに閉じる。

八つ当たりしても意味がない。とにかく早く、あの子の誤解を解かないと。……この人たちはどれだけ拗らせれば気が済むんだろう。

そんなことを思いながら、私は必死に頭を動かした。

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これで、いいんだよね。……これで、いいんだ。

玲名も、基山君が好きだった。なのに、玲名はその気持ちを押し殺して私のためにいろんなことをしてくれた。

「はは……最低だな、私」

今頃、2人は楽しく喋っているんだろう。そう思うと胸がキュッと痛くなる。でも、玲名はこれをずっと我慢してきたんだ。そうさせてしまった罰を、受けるべきだ。

それからというもの、私は玲名とタツヤが一緒にいるときは邪魔しないようにと近づかないようにした。そして、もう心を揺さぶられないようにと無意識のうちに基山君を避けていた。

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