34 ページ34
祥生side
夜ご飯を食べ終え、ベランダで夜風に当たっていた。
「ずっとそこにいると風邪ひくよ」
そう言って隣にやってきた奨さん。
初日の刺々しさは一切無く、穏やかで温かい雰囲気を纏っていた。
自分の愛する人を奪い去っていく人間じゃないと分かって安心しているのだろうか。
そう思うと何だか申し訳なくなった。
「奨さん。
俺、奨さんに謝りたいことがあるんです。」
俺が話を切り出そうとすると、奨さんは優しい表情で次の言葉を待っていた。
俺が話しやすい状況を作ってくれているのだろう。
「俺、ホンマはAを奪ってやろうって思ってこっちに来たんです。奨さんも分かってたと思うんですけど。
俺とAは子供の頃からずっと一緒で、ずっと好きやったんです。結局はただの片思いなんですけど。
昔からAといい感じになりそうな男を見つけては牽制して、Aに彼氏ができない状態を作り上げていたんです。
高校の時の元彼も同じです。
痴話喧嘩が原因で別れたって言ったけど、ホンマは俺のせいなんです。
その元彼に嘘ついたんですよね。
『俺、Aとヤったんですよ』って。
それで上手くいったから同じ方法で奨さんからAを奪ってやろうと思ったんです。
そしたら奨さんホンマにええ人で、俺に勝ち目がないくらい魅力的な人で、だから諦めたんです。
なので、2人の邪魔はしません。
あと、明日の朝に帰ります。
一応、俺にも大事な人はいるんで。」
ダラダラと長い話を奨さんは黙って聞いてくれた。
そして、自分の幸せを脅かそうとした事実が分かっても
「そっか」と笑って答えるだけだった。
「俺、奨さんのことを"特別"とまでは思ってないんですけど、人として大好きで大切にしたいと思ってます。
それは本当です。信じてください。」
俺が真面目にこう言うと「分かった分かった」と言ってまた笑う奨さん。
もうすぐで奨さんと離れるのか、寂しいな。
一瞬だけ浮かんだ考えをすぐに消した。
俺にはずっとそばにいてくれる人がいる。
その人のことを1番に考えなきゃいけないのに。
あの時、翔也と約束したから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プルメリア(プロフ) - ささん» 2作とも読んで頂きありがとうございます！ 嬉しいです！ こちらの作品優先にはなりますが、どちらも更新お待ちいただければ幸いです！ (11月7日 20時) (
レス) id: f9f8715533 (このIDを非表示/違反報告)
さ(プロフ) - 二つの作品一気に見ました☺️どちらもとても面白くてこれからも楽しみにしてます🎶 (11月7日 17時) (レス) @page19 id: 3db943dc83 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア(プロフ) - 3yjxQciJV7r5zPBさん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて大変嬉しいです！ 続きをお待ち頂ければ幸いです！ (11月5日 23時) (レス) id: f9f8715533 (このIDを非表示/違反報告)
3yjxQciJV7r5zPB(プロフ) - すごく面白いです！続きが気になります！ (11月5日 23時) (レス) id: de847680fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：プルメリア | 作成日時：2023年11月1日 11時
