Trust me. (ページ23)

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違和感ページ23

-A side-

どうしても分からない…。

どうして光輝が私達と離れてまで
あんな人達の元にいるのか…。

海司と竜が自分達の沈んだ感情を誤魔化すように
ダンスの練習をしているのをぼんやりと見る。

いつもは綺麗に揃っているのに
こんなグチャグチャな気持ちで
最高のパフォーマンスなんて出来るわけ無くて、
明らかにリズムも取れてないし、動きもバラバラ。

それが今の私達みたいで余計に虚しくなる。

そんな事を考えていると、
離れたところからヘリがコチラに向かってくるのが見えた。

あれが奏さんだったら…。

あの人ならきっとこの状況を変えられる…。

そんな僅かな希望を抱くと、
学園の敷地内にある広場で着陸体制に入るのが見え、
それが奏さんだと確信した私はすぐに屋上を飛び出した。

A｢奏さん！｣

奏｢ただいま戻りました！｣

私達が駆けつけた時には既に京極兄弟も
生徒会メンバーもいて、
ちょうど理事長達も駆けつけたところだった。

理事長｢申し訳ありません、
キミの留守中にとんでもない事に…｣

奏｢大丈夫です｣

理事長｢え？｣

奏｢聖ブリリアント学園は僕が守ります｣

いつもの王子スマイルではなく、
キリッとした表情で言う奏さんは凄く頼もしく見えた。

海司｢光輝もアイツらのとこに…｣

奏｢尊人から聞いたよ｣

どうやら尊人さんからの連絡を受けて
急遽王子としての公務を中断して
学園に戻ってきてくれたらしい。

陸｢アイツ、取り戻したい｣

その言葉に奏さんは大きく頷いて、
許された人しか入ることが出来ない…
かつての“王子室”へ向かう。

だけど、この時ふと違和感を感じた。

奏さんも鏑木さんも普通にしているけど、
いつも奏さんのそばを離れない久遠さんの姿がない。

海司｢A、どうかした？｣

A｢いや…｣

いつだって奏さんを優先していた久遠さん。

それでも周りの事もしっかり見ていて、
自分の管理だって徹底的に出来ていた。

そんな久遠さんが体調崩すなんて考えにくい…。

もしかして…

そんな最悪な考えが頭をよぎるも、
絶対そんなことがあって欲しくない。

だけど、
神様はいつだって意地悪だ。