Trust me. (ページ20)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:44,549 hit

貴族ページ20

.

海司｢え…光輝？！｣

気になって下の様子を覗く海司の声に
私達はすぐに駆け寄った。

そこには髪型も違うし、
服装だって高そうな物を身に付けているけど
遠くからだって分かる…

A｢…光輝｣

1か月前誰にも知らせず、
突然姿を消した光輝の姿がそこにあった。

光輝と謎の集団が校内に入っていくのが見えて
私たちはすぐに屋上を後にして階段を一気に駆け下りた。

竜｢光輝…！｣

光輝は一度こちらに視線を移すも、すぐに逸らした。

こっちの事情を知りもしない結城先生は
王子センサーが反応しただの、
尊人さんと貴族のイメージだの勝手に盛り上がってるけど
そんなことはどうだっていい。

私たちを素通りして理事長室へ向かったその集団。

しばらくして理事長室から出てきたところを
竜を筆頭に乗り込んでいく。

竜｢光輝｣

海司｢光輝…｣

陸｢光輝…｣

A｢……光輝｣

だけど…

『人違いです』

ﾈｸｽﾄ(光輝以外)｢は？｣

光輝(ルイ)｢ルイです｣

竜｢は？100%光輝だろ｣

光輝(ルイ)｢違います｣

そう言いながら私の方を一切見ない光輝。

それは小さい頃からの光輝の癖。

私に隠し事をする時、
弱さを見せたくない時には必ず視線を外してた。

何を言わずに姿を消した光輝にも、
この光輝の態度にも腹が立った私は
光輝の頬を掴み強制的に視線を合わせた。

A｢違うって言うなら私の目を見て言って！｣

光輝(ルイ)｢……お引き取り下さい｣

少し目を泳がせながらも
私の目を見てハッキリとそう言った光輝。

A｢…行こう｣

光輝の頬から手を離し、
そのまま背を向けて歩き出した私に竜達も続く。

横を通る度に煽るように言う
『ノンエレガント』『お気を付けて～』という
その言葉が耳障りで仕方ない。

陸｢…どうする？｣

海司｢どうするって…｣

竜｢どうもこうもねぇだろ｣

A｢光輝がその気なら…どんな手を使ってでも連れ戻す｣

光輝の奪還の為に色々考える私達だけど
そんな私達と裏腹に学園内の生徒だけではなく
PTAの保護者までもがドリーに染まり始めていた。