18話 俺のせいで、また ページ19
br side
「俺が普通を演じられれば、それでいいんだよ、っ」
きんときの言葉に、スマイルは冷たく言い放つ。
「…そんな薄っぺらい“普通のきんとき”で、今後お前はNakamuとやっていけるのか?俺は絶対に無理だと思うが」
「…どういう、こと、だよ…」
スマイルの冷たい言葉に、きんときは涙を溢した。
「…そんな偽りと隠し事ばっかりな関係、恋人でも友人でもなんでもない。ただの“知り合い”なんだよ。仮にも恋人なら、もっとしっかり心で繋がるべきだ。それができないなら、Nakamuの恋人でいる資格はない」
スマイルの言葉にも一理ある。
だけど、言い方に難がありすぎた。
「…うるさい…お前に何がわかるんだよ…!こうでもしなきゃ、俺の願いは叶わないんだよ!!」
泣きながら大声で叫んだきんときは、テーブルにあったコップに入った水をスマイルに投げつけて外へ駆け出してしまった。
水をかけられたスマイルは黙って俯く。
沈黙の中、プラスチックのコップがコロコロと転がっていた。
僕は、何も言えなかった。
sm side
「…どうして…俺はきんときのために…」
水と共に涙もぽたりと滴り落ちていく。
「スマイル、少し、言い方が悪かった、かな」
Broooockはコップを拾いながらそう言った。
「まぁ、スマイルの言葉にも納得はできたけど」
シャークんはゲーム機を片付けながら言った。
「何もスマイルだけが悪いんじゃない。きんときも頭を冷やさないといけない」
きりやんはそう言いながらタオルを俺に渡す。
ふっと、昔のことが頭に浮かぶ。
『もっと人のことを考えられないのか』
『配慮というものを知らないの?』
『君はまるでアンドロイドだな。人の気持ちを知らないんだ』
子供の頃、こんなことを言われた。
ズバズバとものを言ってしまい人を泣かせてしまうことが多くあり、他人からは避けられる日々。
人の心が分からないせいで、また俺は…
「うっ、うっ…」
「お、おい、しっかりしろ!」
しゃくりあげて泣いていた俺の背中をシャークんが優しくさすってくれる。
「お、っ、お、れ…おれ…」
「スマイル、落ち着け。水飲むか?」
「ゆっくりでいいよ、落ち着いてから話してみて」
きりやんが水をくれて、Broooockが優しく諭してくれる。
俺は、また1人傷つけてしまったのに、
なんでみんなはそんなに俺に優しくするんだよ…
罪悪感で、俺の心は締め付けられるばかりだ。
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あおみどり(プロフ) - Ayameさん» コメントありがとうございます!この小説を楽しんで頂けたようで嬉しいです!次回作も是非よろしくお願いします〜! (2022年6月15日 7時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
Ayame(プロフ) - 執筆お疲れ様でした!完結おめでとうございます!とても好きで更新をいつも楽しみにしていました!本当に良作品をありがとうございました! (2022年6月15日 1時) (レス) @page37 id: 178e5a4b78 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - のんさん» いつも見てくださりありがとうございます〜!めっちゃ嬉しいです励みになります!! (2022年5月17日 23時) (レス) @page33 id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
のん - あおみどりさんの小説、やっぱし好きです〜! (2022年5月17日 5時) (レス) id: 23d1b06221 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ワ!!やっぱり神だ…… (2022年3月3日 2時) (レス) id: 73f49162b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおみどり | 作成日時:2021年2月4日 22時