蜂須賀虎徹 ページ10
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真っ暗闇に、ぽっかりと月が浮かぶ。
その周りにぱらぱらと、金平糖みたいな星が散りばめられている。
ぎしり、と。
床の軋む音がした。
月の様に輝く鎧に身を包んた彼を待つのは、黒に映える赤い刀だ。
「…久しぶり、蜂須賀」
「何故、加州がここに?」
「見張り役。当たり前でしょ、こんな敵が多い場所で一人で寝かせるわけないじゃん」
そう言って、彼はくすりと笑う。
加州の腕の中には、加州自身が握られている。
前回、時間遡行軍が攻めてきた頃から、刀剣達は交代で夜の見張りをする事になっている。
この本丸において、危険なものは何も刀剣男士だけではない。
それどころか、刀剣男士の方が警戒されていない。
彼女自身の見張りも兼ねている。
というかそっちがメインだ。
彼女は、色んな意味で危険だ。
蜂須賀は、そうか、と呟き少し困った様な顔をした。
それを見兼ねてか、加州はまた口を開く。
「主から伝言があるよ。その刀を持って感じた事があるならば、その思いは聞こう、だってさ」
蜂須賀は驚いた顔をし、ぐっと手の中にある浦島虎徹を握り締めた。
彼は意を決した様に、審神者の部屋の前で膝をつき、浦島虎徹を床に置いた。
加州は黙って、目を閉じていた。
「審神者、俺はお前の事はよく知らない。当然だ、直接顔を合わせたことも話した事もない」
そう。
彼等は、まだ出会ってもいない。
最初の挨拶など、会ったとは程遠いものだ。
お互い、何も知らないのだ。
「だが、浦島が言ったんだ。温かい人だね、と。この本丸で皆と過ごすのは楽しそうだと。俺は、弟を一度失った。もう失う気は無い。俺が弟を護る、
彼はそう言って、頭を下げた。
開くかも分からない襖に向かい、堂々と言葉を発した。
届いたか分からない、起きているのかすら分からない。
でも、届けばいい。
俺たち兄弟の願いが叶えばいい。
『堅苦しいなぁ。もう少し気楽に行こうよ。まぁ、元々よろしくするつもりだったけどね』
襖が開かれ、審神者はそう言って微笑んでいた。
あぁ、良かった。
届いたみたいだ。
蜂須賀は、そんな彼女を見て、自然と頬を綻ばせた。
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よこみ(プロフ) - …さん» 夜分遅く大変失礼致します。コメントありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しいです。 (2019年7月9日 1時) (
レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
… - すき (2019年6月10日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)
よこみ(プロフ) - 幽華睦月芙蓉伊-零号機さん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。今後とも宜しくお願いします!! (2019年2月17日 15時) (レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
幽華睦月芙蓉伊-零号機 - んんんんんっ…めっちゃいい話です！これがというか、まとめ読みしましたぁ！続きとか待ってます！でもお体にはきをつけてください！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: 1c7ece0b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よこみ | 作成日時：2018年12月13日 17時
