浦島虎徹 ページ7
.
俺の最後の記憶は、真っ暗な地下牢だ。
俺はブラック本丸にいた。
そこの審神者は、刀剣達に暴力を振るうやつだった。
しかも見えないように、服で隠れる部分に痣や傷を作るのだ。
余計に性質が悪いし、その所為で政府への摘発も遅れた。
言霊を使い、俺たちを逆らえないようにし、反発しようものならその場で刀解、または折られるのだ。
誰も何もできなかった。
だけど、月に一度来るという、政府の役人が漸くその事実に気づいたのか。
人間が何人も来て、地下に閉じ込められていた俺と蜂須賀兄ちゃんを連れ出した。
ただ、その時俺は顕現されてなかった。
蜂須賀兄ちゃんが、どれだけ脅されようと、どれだけ傷つこうと、どんなに言霊を使われても。
絶対に俺を渡さなかった。
兄ちゃんは顕現してない俺に、よく話しかけてくれた。
この本丸のこと、刀剣達のこと。
そして、最後に絶対に言うんだ。
「浦島、俺のわがままで、ごめんな」
「外に出たいかもしれない。仲間達と走り回りたいかもしれない。暖かいご飯を腹一杯食べたいかもしれない」
「でも、ここではそれはできないんだ」
「俺は、せめてお前だけでも幸せになってほしい」
「お前の願いが叶う場所に行って欲しい」
「だから、もう少し待ってくれ」
俺は、何も返せなかった。
兄ちゃんは、そこを出る時には審神者に傷つけられた所為で、折れる寸前だった。
そして、役人に俺を渡し、消えた。
兄弟が死んだのに、俺は涙を流すことも、名前を呼ぶこともできなかった。
でもそれは、兄ちゃんが俺を守ってくれたからだ。
悲しかったけれど、俺が今するべきことはそれじゃない。
俺は、別の本丸に行って、兄ちゃんの望みを叶えなければいけない。
元があんな本丸だったんだ、酷い所には連れて行かれないだろう。
そこで絶対に幸せになって、みんなと笑いあって。
そして、兄ちゃんに会えたら、こう言うんだ。
「ありがとう、俺今幸せだよ」
って。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よこみ(プロフ) - …さん» 夜分遅く大変失礼致します。コメントありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しいです。 (2019年7月9日 1時) (
レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
… - すき (2019年6月10日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)
よこみ(プロフ) - 幽華睦月芙蓉伊-零号機さん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。今後とも宜しくお願いします!! (2019年2月17日 15時) (レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
幽華睦月芙蓉伊-零号機 - んんんんんっ…めっちゃいい話です！これがというか、まとめ読みしましたぁ！続きとか待ってます！でもお体にはきをつけてください！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: 1c7ece0b61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よこみ | 作成日時：2018年12月13日 17時
