彼等の牢獄 ページ39
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孤児になって、霊力が高い子供は、オバケに連れ去られちゃうのよ。
そんな噂が、今でも子供達の中でされている事がある。
そしてそれは、半分事実で半分嘘である。
霊力の高い子供達が行くのは、オバケの元ではない。
「初めまして、政府の者です。本日はそちらの子供を引取りに参りました」
政府の元だ。
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「良いですか。政府に勤める者が軟弱ではいけません。必ず、誰にも負けない力を付けるのです」
無表情でそう言う、スーツを着た政府の女性。
それに大きな声で返事をする子供達。
一見すれば、普通の孤児院で行われる授業の様なものに見える。
しかしその内容や女性の発言、それはただの孤児院のものでは無い。
孤児になった霊力の高い子供達を集め、政府の職員にし、良い人員の確保。
また、自分達の思い通りに動く、都合のいい人間を育てる為、この孤児院は作られた。
しかし、彼等がこの孤児院を出て、必ず最初に就く部署は決まっている。
それが、政府諜報部だ。
諜報部は、政府が作ったにも関わらず、仕事柄邪魔に思われる事が多い。
自分の悪事が、諜報員によって露わとなり、政府を追い出される者も少なくない。
また、諜報員が敵陣に潜り込む事もある。
故に、諜報部の人間は戦闘能力、知能、霊力、全てを兼ね備えた者がなる。
そして諜報員は、他部署への人員補給、審神者の交代等に当てられる事もある。
全てを兼ね備えているが故に、政府からはある意味、都合のいい奴等だと扱われているのだ。
「早く出たいわ。こんな所」
ぽそり、呟いたのが聞こえた。
同期である山本桜だ。
それを聞いた藤村弥生は、至極不思議そうな顔をした。
何故そんな風に思うのだろう、と。
確かに、訓練は厳しいかもしれないが、暖かいご飯と寝床があるだけマシだろうと。
たった二つしか違わないが、その差は心理的面では大きなものだったのかもしれない。
藤村弥生には、山本桜の発言が理解出来なかったのだ。
「どうしてそう思うんだ?」
「だって…私は、お婆ちゃんが死んだだけで、お父さんもお母さんも居るはずなのよ。なのに、私を孤児なんかにして…置いていくなんて。文句の一つくらい言いたいでしょう?」
そう言う彼女の目は、酷く濁っているように見えた。
自分には分からない思いを抱いている彼女に、何を言えば良いのだろう。
そう思っていると、後ろでそれを笑った少女が、口を開いた。
『両親が生きているだけマシだろう』
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よこみ(プロフ) - …さん» 夜分遅く大変失礼致します。コメントありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しいです。 (2019年7月9日 1時) (
レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
… - すき (2019年6月10日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)
よこみ(プロフ) - 幽華睦月芙蓉伊-零号機さん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。今後とも宜しくお願いします!! (2019年2月17日 15時) (レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
幽華睦月芙蓉伊-零号機 - んんんんんっ…めっちゃいい話です！これがというか、まとめ読みしましたぁ！続きとか待ってます！でもお体にはきをつけてください！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: 1c7ece0b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よこみ | 作成日時：2018年12月13日 17時
