貴女の笑顔 ページ18
．
ある雨の日のことだ。
俺が月に一度の本丸の監査に来た時。
「いない?」
「はい。早朝に散歩をすると言って出て行ったきり、戻ってきていません」
「そうですか」
全く、困った人だ。
こういう時くらい、きちんと自分の職場にいてくれないだろうか。
まぁ、あの人にそんな事を望むのは、高望みだろうけれど。
俺は、出迎えてくれた前田藤四郎に礼を言い、本丸の裏山に向かった。
何となく、彼女はそちらに向かった気がした。
暫く進むと、女性の歌声が聴こえてきた。
俺はその方向に、真っ直ぐ向かって歩いた。
『〜〜♪らら〜ら〜』
「何してるんですか、こんな所で」
『お、こんにちはぁ』
「こんにちは、じゃありません。事前に今日監査に来る事はお話した筈ですが」
『ごめんごめん』
彼女はそう言って、クスクス笑った。
こんなに寂しそうに笑うとは。
半年前まで、こんな顔をしていなかったのに。
いつからこんなに、優しそうな顔をするようになったのだろうか。
「すみません」
『…なんで、君が謝るんだい?』
「貴女が苦しんでいるのは、今も昔も、私達政府のせいです。貴女の大切な人を私達は
『君が背負う事じゃない』
彼女は優しく微笑んで、俺の方を向いた。
あぁ。
貴女がそんな顔をするのも、政府のせいで。
貴女が人を思いやれるようなったのも政府のおかげで。
皮肉だ。
『私ね、君が担当で良かったと思ったんだ。そんな風に、私の事を見てくれる人はあの中にはいない。彼等が無事なのも、君が尽力してくれているからでしょう?だから、謝らないでくれ。ありがとう』
「貴女は…それで良いのですか?」
『良い。それに、今度は奪わせない。必ず守ってみせる』
彼女は強い。
でもその強さは、とても脆い。
彼女の強さは、護るものの為にあるのだ。
それがもし、もし本当に失った時。
彼女は恐らく壊れる。
この意志も優しさも無くなり、また政府の道具になる。
そんな事には、俺がさせない。
何の為に、俺がこの本丸の担当をしているのだ。
「俺も、手助けしますよ」
『本当に?頼もしいなぁ』
貴女が笑えるなら、何でもしよう。
．
「その怪我はなんです?」
『あぁ、この間あの男に殴られたんだよ』
「殺しましょう」
『やめなさい』
．
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よこみ(プロフ) - …さん» 夜分遅く大変失礼致します。コメントありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しいです。 (2019年7月9日 1時) (
レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
… - すき (2019年6月10日 20時) (レス) id: 1276fff981 (このIDを非表示/違反報告)
よこみ(プロフ) - 幽華睦月芙蓉伊-零号機さん» コメントありがとうございます!返信遅くなり申し訳ありません。今後とも宜しくお願いします!! (2019年2月17日 15時) (レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
幽華睦月芙蓉伊-零号機 - んんんんんっ…めっちゃいい話です！これがというか、まとめ読みしましたぁ！続きとか待ってます！でもお体にはきをつけてください！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: 1c7ece0b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よこみ | 作成日時：2018年12月13日 17時
