二日目の始まり ページ33
.
とりあえずご飯を食べるため、離れの厨で昼食を作り始めた。
え?本邸じゃないのかって?
察しろ。
『さぁて、何にしようか』
「昨日のサツマイモが残ってるんじゃないか?」
『あぁ、そうだった。じゃあ…半分残しとこうか』
「ぼくもなにかおてつだいしたいです」
『じゃあねぇ、このくらいのものが入りそうなお皿、持ってきてくれないかい?』
「わかりました!」
そうやって、順調に昼食を作って、私の部屋に運んだ。
割とみんな料理がお上手で、聞けば食事当番は日替わりだったらしく、そこで腕を磨いたのだとか。
いいねぇ、素晴らしい毎日だったんだろうねぇ、最初は。
『さぁて、食べようか!!』
みんなでいただきます、と言って食事を始めた。
「そうだ、大将。昨日の傷の具合はどうだ?」
『ん?あぁ、これかい?特に問題はないけど…まだ塞がってはないみたいだねぇ』
「そりゃあそうだろう。刀を二度も鷲掴みにしたんだ。それでへらりとしているんだから、君には驚かされるぜ」
『あら、褒め言葉?』
「気をつけなよ、主は女の子……だから」
『なぜ止まった』
確かに女子らしくはないけれど。
そんなにあからさまに止まるな、一応0.1mmくらいは傷ついてるぞ。
食事を終えると、私は昨日の掃除の続きを始めた。
食事の片付けは、薬研くんと今剣くんがしてくれるらしい。
『さぁて、張り切って行きましょうか』
私は髪の毛を結い上げ、バケツに大量の水を入れ、雑巾を濡らした。
昨日と同じように、上から順番に埃を落として拭いていく。
昨日で三分の一程度は終わったから…今日頑張れば終わるかなぁ。
何事も無ければ、の話だけれど。
『まぁ、起きて早々無理そうだけど。何か用かい?』
「気づかれてたか」
『生憎、人の気配には敏感なもので』
無論、殺気にも。
眼帯を着けた彼は、苦笑しながら頬をかいた。
あぁ、サツマイモくれた子か。
『で、どうしたの?』
「いや、気になってね」
君が、本当に前任と違うのか。
どんな人間なのか。
『あっはははは』
「どうして笑うんだい?」
『いや、悪いね。本当、ここの子達は面白いなぁ』
彼女はそう言って、笑みを残したまま顔を上げた。
『私も、大して前任と変わらないさ』
「え…」
『まぁ見たいなら見てもいいけれど、どうせならさぁ』
彼女は僕の手をひょいと上げ、絞った雑巾を掌に置いた。
『手伝ってよ、掃除』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 974人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メンタル弱い系人間(プロフ) - よこみさん» よこみさんからよろしく何て！！ありがとうございます！！天に召されそうです！ (2018年3月11日 9時) (
レス) id: ba1024f461 (このIDを非表示/違反報告)
よこみ(プロフ) - メンタル弱い系人間さん» コメントありがとうございます。一目惚れ、嬉しいです。笑今後ともよろしくお願いします!! (2018年3月11日 9時) (レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
メンタル弱い系人間(プロフ) - よこみさん！面白いです！私もこのようにかけると良いのですが、…苦笑、というか！一目惚れしました！よこみさん！！ (2018年3月9日 23時) (レス) id: ba1024f461 (このIDを非表示/違反報告)
メンタル弱い系人間(プロフ) - え、ちょ、マジか、何だよただの神様の作り出した産物だったわ (2018年3月9日 23時) (レス) id: ba1024f461 (このIDを非表示/違反報告)
よこみ(プロフ) - ステラさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです。 (2018年2月19日 22時) (レス) id: 5f62df7634 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よこみ | 作成日時：2017年4月2日 2時
